NHK「テレビでスペイン語」で学ぶスペイン語圏の料理(2011年4月~9月)
2011年度(4月~9月)は、「EURO24」ということで、伊、独、仏、西の共通テーマはホームステイで学ぶ24の動詞。「スペイン語」はサラマンカに南米コロンビアからやってきた留学生が4人家族の家庭にホームステイをするという設定です。同じスペイン語圏でも、南米とスペインでの言葉の違いや風習などが比較できて面白い。
ナビゲーターは今井翼さん、講師は角田哲康先生、パートナーはエレナ・ポンセ・マリンバルドさんとドナト・コルソ・トレスさんです。
ここでは番組に出てきたスペイン料理やスペイン語圏の南米料理、食べ物の話題をメモしています。
※スペイン語表記はかつてブラウザ等の関係により正しく表示できなことがあったため、アクセント記号( ' ~)などは省いたままです。ご了承ください。
■番組データ
タイトル:「NHKテレビでスペイン語」
放送日・時間:2011年4月~9月 毎週木曜日 23時25分~23時50分(再放送)毎週木曜日13時30分~13時55分
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第22回
タマレス(tamales)
グアテマラは古代マヤ文明の栄えたところで、トウモロコシが主食。「タマレス」はとうもろこしの粉で作った「ちまき」のようなグアテマラの伝統料理なんですね。結婚式やクリスマスなどお祝いのときに作る料理だそうです。
試食をした翼くんは「トマト味で食べやすい、おいしい。バナナの葉の香りがいい」と言っていました。
●tamales レシピ
【材料】10個分
<生地>
- コーンミール……100g
- 米粉……100g
- 水……1リットル
- 玉ねぎ……1/2個
- バター……40g
- 油……30ml
- 塩、コンソメ
<ソース>
- トマト……5個
- 赤ピーマン……2個
- 玉ねぎ……1/2個
- 鶏肉……700g
- ニンニク……4片
- ごま……大さじ3
- かぼちゃの種……大さじ3
- 塩、こしょう、コンソメ、クローブ、チレパサ
- バナナの葉
【作り方】
- トウモロコシの粉と米粉を水で溶き、玉葱みじん切り、バター、コンソメ、油を加えて火にかけ、30分ほどかき混ぜながら煮て、柔らかな餅状の生地を作る。
- 別の鍋に、トマトと赤ピーマン、軽く焼いた玉葱、にんにく、コンソメを加えて20分煮る。このときチレパサ(ピーマンほどもある大きさの乾燥唐辛子)を軽くいって入れると旨みと辛味が出る。
- かぼちゃの種、ごま、こしょう、クローブと(2)をミキサーにかけてなめらかなソースにし、下ゆでした鶏肉とあわせる。
- バナナの葉に生地をのせソースをかけて包んだら紐でむすび、20分蒸す。
9/8放送(「El Mundo Hispanico」コーナーより) (2011.09.09)
第18回
生ハム工場
スキットの中で、ハモン・イベリコ・デ・ベジョータの工場を見学するという場面が出てきました。訪れたのはサラマンカからほど近いギフエロの町。人口6,000人ほどの町に、200以上の生ハム工場があるのだそうです。
生ハムが作られていく工程を見て回ります。
- 粒の大きな粗塩で塩漬けにする(14~20日)
- 水できれいに洗い流し、乾燥させる(4カ月)
- 室温14度に保てる乾燥室にぶら下げておく(1年)
- 熟成室でカビが生えないよう半年ごとにオリーブをぬりながら熟成させる(2年)
高級なハモン・イベリコは3年以上かけて丁寧につくられているんですね。
エンパナダ・デ・アトゥン(empanada de atun)
今回はチリのまぐろのエンパナーダが紹介されました。
エンパナダ(ミートパイ)は、スペインや南米各地にあって、国によって少しずつ具が違うようですが(グアテマラは甘いカスタードクリーム入り)、チリはツナ、玉ねぎ、トマトに、ゆで卵入りでスペインと似ていました。
チリもスペイン同様、野菜を刻むときに、まな板はほとんど使わないのですね。ボウルの上で器用に刻みます。トマトはともかく、玉ねぎのみじん切りは見事でした。玉ねぎの中心に向かってナイフで縦に細かく切り目を入れておき、横からざくざくと削っていく。すると、刻まれた玉ねぎが面白いようにこぼれていくのです。省スペースでまな板を洗う手間もいらず一石二鳥ですね。
エンパナーダは大勢の人が集まるときに作って食べる料理で、たいていお母さんを手伝う形で子ども達と一緒に作ることが多いそうです。
●empanada de atun レシピ
【材料】16個分
<具>
- マグロの水煮……600g
- にんにく……2片
- トマト……1個
- 玉ねぎ……2個
- ゆで卵……1個
- 赤ピーマン……1/2個
- 緑ピーマン……1/2個
- オリーブ……好みで
<生地>
- 小麦粉……500g
- バター……60g
- ぬるま湯……1カップ
- 塩……小さじ2
- 卵の黄身……1個
<調味料>
オリーブオイル、塩、こしょう、パプリカパウダー、オレガノ
【作り方】
- マグロの水煮はよく身をほぐしておく。
- トマトと玉ねぎ、ピーマンはみじん切り。トマトの水はよく切っておく。
- フライパンに油をひき、にんにくのみじん切り、玉ねぎを入れて炒め、塩、こしょう、オレガノ、パプリカパウダーで味をつける。
- ピーマン、トマトを入れて炒め合わせたら、まぐろの水煮を加えて全体がなじむまで炒め、火を止めてオリーブとゆで卵のみじん切りをまぜる。
- 小麦粉に卵黄、溶かしバター、塩、ぬるま湯を少しずつ加えてよくこね、耳たぶほどの柔らかさの生地にする。
- 生地を10cmほどの円形にのばし、具を包んで三角形に形をととのえる。
- 表面に卵黄をぬって、180度のオーブンで25分焼く。
8/11放送(スキットと「El Mundo Hispanico」コーナーより)(2011.08.15)
第14回
ロモ・サルタード(lomo saltado)
ペルーは日本や中国からの移民が多いことから、アジア風の料理も多いとか。ロモ・サルタードも味付けにお醤油を使っていました。
このロモ・サルタードのような料理は、チファと呼ばれて人気があるんですね。チファは中国語のチーファン「吃飯(ごはんを食べる)」から生まれた言葉なんだそう。
ペルーならではの食材もでてきました。アヒ・アマリージョ。これはインカ文明の時代からある唐辛子で、オレンジ色をしたピーマンくらいの大きさ。ピリ辛で料理の味の決め手になる食材なんでしょうね。
●lomo saltado レシピ
【材料】3人分
<炒め物>
- 牛肉……300g
- 玉ねぎ……1個
- トマト……1個
- アヒ・アマリージョ……1/2個
- オイル、塩、こしょう、酢、醤油
<フライドポテト>
- じゃがいも……4個
- 揚げ油
<ご飯>
- 米……3カップ
- 水……3カップ
- オリーブオイル、ガーリック、塩
【作り方】
- 炊飯器にオリーブオイル、にんにく、塩を入れてご飯を炊く。
- 付け合わせ用のじゃがいもを拍子切りにして揚げる。
- 牛肉は大きめの拍子切り、玉ねぎ、トマトは牛肉と同じくらいの大きさのくし切り、アヒ・アマリージョは細切りにする。
- フライパンに油を入れ、強火で牛肉を炒めたら、玉ねぎ、トマト、アヒ・アマリージョを入れてさらに炒める。
- 酢、塩・こしょうで調味し、最後にお醤油をまわしかけて味をととのえる。
- 皿にご飯、フライドポテトとともに盛りつける。
7/7放送(「El Mundo Hispanico」コーナーより)(2011.07.08)
第11回
ピンチョ・モルーノ
スキットのキーフレーズが
「Como se hace el pincho moruno?」
(ピンチョ・モルノはどのように作るの?)
ということから、実際に作り方が出てきました。
ボールにオリーブオイルを100mlくらい、パプリカを大さじ山盛り1杯、カレー粉とオレガノを入れてたれを作り、一口大に切って塩をした豚肉を2時間漬ける。それを串に刺し、鉄板で焼く。
たれにカレー粉を使うとは、知りませんでした。でもカレー粉は、ターメリックやクミンなど各種香辛料が入っていますから、お手軽ですよね。なるほどです。
ジョセップ・バラオナ・ビニェス氏
ピンチョスを日本に広めた第一人者ジョセップ・バラオナ・ビニェスさんが紹介されました。
モダンにアレンジされたアートなピンチョスの発想は、旅先での食事。その土地の人と話すことでアイデアが浮かんでくるそう。「アイデアはお金では買えないので、自ら探すことが必要。もっと旅をして他の料理も学びたい」と。わたしの場合はレストランかな。
料理人として下地は、お母様が毎日作っていた料理から。現在は、カタルーニャの家庭料理に力を入れていて「フィデワ(パスタパエリア)」やアティーチョークご飯などを研究してるのだとか。なつかしい思い出が蘇ってくるような料理を作りたいとも。
これは他の料理人の方も話していたことですが、味わった瞬間にその人の記憶を刺激するような料理を作りたい、すなわち心に染みる料理ということでしょうね。深いなぁ。
ビニェスさんの好きな言葉は
「食べるために生きる(vivir para comer)」。
6/16放送(スキットと「El Mundo Hispanico」コーナーより)(2011.06.19)
第10回
ソパ アステカ(sopa azteca)
メキシコのソパ アステカ。スペインの影響を受けているせいか、手の込んだ温かいガスパチョといった趣です。
このスープで見慣れない食材が出てきました。チレ・パシージャという甘みのある乾燥唐辛子です。黒くて長さ10cmほどありました。手に持ってふると、中の種がカシャカシャ鳴って、まるでマラカスのよう。番組では、小さな女の子がこれ持って踊ってましたっけ。
パシージャを入れると料理が味わい深くなるんだそう。いいだしがでるのかな。どんな味なんでしょうね。今回はチレ・パシージャをはさみでちょきちょき切って、軽く揚げてトッピングに使っていましたが。
フランス料理と並んで、料理として初めて世界遺産に登録されたメキシコ料理。作物の栽培方法や調理方法の独創性など、メキシコの食文化が評価された結果らしいですが、先住民とスペイン文化の融合からどんな料理が生まれていったんでしょうね。興味津々。
●sopa azteca レシピ
【材料】4人分
<スープ>
- 完熟トマト……3個
- 玉ねぎ……1/2個
- にんにく……1片
- オリーブオイル
- コンソメスープ……適量
- 塩、こしょう、赤唐辛子、オレガノ
<具とトッピングなど>
- トルティーヤ(コーンタコスの皮)
- 鶏肉
- アボカド
- チーズ
- サワークリーム、チレ・バシージャ、コリアンダー
【作り方】
- 完熟トマトを半分に切り、コンロ(または魚焼きグリル)で焼いて皮を剥く。
- フライパンにオリーブオイルを入れ、薄切りのにんにくと玉ねぎを炒める。
- (1)と(2)をミキサーにかけたら油をしいた鍋に移し、コンソメスープ、赤唐辛子、オレガノ、塩を入れて20分ほど煮る。
- 1cm幅に切ったトルティーヤとチレ・パシージャを軽く油で揚げておく。
- 器に鶏肉(加熱済み)、アボカド、チーズを入れ(3)を注ぎ、サワークリームとチレ・パシージャ、コリアンダーをのせる。揚げたトルティーヤを添えてできあがり。
6/9放送(「El Mundo Hispanico」コーナーより)(2011.06.11)
第6回
アレパ(arepa)
ベネズエラの国民食「アレパ」。アレパはとうもろこしの粉で作った薄焼きのパンで、中に野菜や肉などを挟んで食べる。
「arepa de reina pepiada」は、「かっこいい女王のアレパ」という意味で、ある一軒のアレパ屋さんがミス・ワールドのスサナさんをイメージして作ったのが始まり。今はどこのアレパ屋さんにもある1品だそう。アボカド入りでおいしそうでした。
●arepa de reina pepiada レシピ
【材料】4人分
<アレパ>(薄焼きパン)
- コーンミール(アレパ用)……1カップ
- 水……1カップ
- 塩……ひとつまみ
- バター、ラードなど……お好みで
<具>
- 玉ねぎ……1/2個
- 長ネギ……1/2本
- 鶏肉……100g
- アボカド……1個
- マヨネーズ、塩、こしょうなど お好みで
【作り方】
- 玉ねぎ、長ネギ、鶏肉は一緒に茹でておく。
- 玉ねぎ、長ネギ、アボカド(1/2個)をフードプロセッサーでつぶし、鶏肉はほぐして混ぜ、塩とマヨネーズで味をつけてディップを作る。
- コーンミールに水と塩を入れこねる。円形に整え、フライパンで焼いてアレパを作る。
- アレパは焼くとピタパンみたいに中が空洞になるので、そこにディップとスライスしたアボカドを挟む。
5/12放送(「El Mundo Hispanico」コーナーより)(2011.05.16)
第3回
トルティージャは朝、食べない。
スペイン風オムレツ(トルティージャ)は、朝食には食べないんですね。昼か夜。
でもって、トルティージャ(Tortilla)の「lla」は、「リャ」あるいは「ジャ」の発音ですが、近年はマドリードを中心に「ジャ」の発音が多くなっているそうで。Paellaもパエジャ。
1日を通しての食事のスタイルをスキットから拾うと・・・
朝食(8時)は、自宅で軽く飲み物とパンかシリアル。子供達は昼食までの合間(12時)に食べるボカティージョ(チーズやハムをはさんだサンドイッチ)をもっていく。大人は近くのバルで軽くタパスをつまむ。
メインの昼食(15時)は家族そろって自宅で。メニューは、モルシージャやチョリソが入ったいんげん豆のスープ(具だくさん)、豚ほほ肉の煮込み。
夕食(21時)は、自宅でツナとトマトのサラダ、トルティージャ、ガスパチョと軽め。
でした。
昼食と夕食の間にも、軽くつまんだりしますよね。計5回の食事。ひえ~。コロンビアから来てる留学生もこのサイクルに驚いていました。コロンビアは日本と同じ時間帯のようです。
それにしても、今井翼くんは自分でも作ってしまうほどスペイン料理好きなんですね。嬉しい限り。写真のパエリャも本格的でした。さすがです。
4/14放送(スキットより)(2011.04.17)
第2回
ガジョ・ピント(gallo pinto)
コスタリカの郷土料理で黒豆入りごはん。家庭では大量に作って少しずつ食べる。お袋の味。レストランのメニューにもある。
作り方は
- 鍋にブラジル産黒豆と、香草(セロリの葉やパセリ、オレガノなど)塩、こしょう、水、オリーブオイルを入れて、水をさしながら約2時間煮て、煮豆を作る。
- タイ米を油で5分ほど素揚げにした後、コンソメスープで炊きあげる。
- フライパンにたっぷりオリーブオイルを入れ、みじん切りの玉葱をじっくりと炒め、(1)とパセリを加え、最後に(2)を混ぜ合わせてできあがり。
見かけは、色濃くしたお赤飯かチャーハンのよう。大皿にガジョピントを盛り、ハムや野菜、パンなどを添えてボリュームいっぱいの一皿になっていました。翼くんいわく「タコスのようでおいしい!」らしいです。
4/7放送(「El Mundo Hispanico」コーナー)(2011.04.14)
第1回
ピニャータ(pinata)
誕生日などのお祝いのときに登場するくす玉。まわりに三角錐のコーン状のものがついていて、目隠しをした人が棒をもってたたき割ると、中からお菓子(キャンディやフルーツなど)が出てくるというもの。
起源はイタリアで、贈り物のつまった壺「pignatta」ことに由来し、スペイン経由で中南米に伝わったそうだけれど、スペインにも同様のものがあるのでしょうか。
3/31放送(「El Mundo Hispanico」コーナー)(2011.04.01)
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