【閉店】カウンターでゆったりお洒落スパニッシュ
東京・代々木八幡 「Ardoak(アルドアック)」(2021年7月閉店)
東京・代々木八幡の「Ardoak(アルドアック)」は、シェフがひとりで切り盛りするカウンター8席の小さなスペイン料理レストランです。
通常はコース料理をゆっくりいただくスタイルで、まるで割烹料理店のような風情です。貸切もできて、タパスをつまむジュアルなスペインバル使いもできます。
ディナーコースと貸切パーティの両方を楽しんできましたのでご紹介しますね。
【追記】
なお、「アルドアック」 は、2021年7月末閉店。2021年8月より新たに鎌倉に「アンチョア」として営業されています。
以下、2014年のレポートです。ご参考までにどうぞ。
■グルメデータ
レストラン:Ardoak(アルドアック)(東京・代々木八幡)
訪問日時:2014年10月、12月 ディナータイム
内容:10月は3人で、5,000円のおまかせディナーコースに、好みのワインをグラスで1~3杯ずつ。12月は12人の貸切パーティーで、おまかせでピンチョスやタパスなどと肉料理、米料理。ワイン5~6本。
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代々木八幡駅・代々木公園駅から徒歩3分。カウンター8席のスペイン料理レストラン
お店は小田急線の代々木八幡駅、あるいは千代田線代々木公園駅から歩いて2~3分のところにあります。駅前の地理に詳しくなくても、富ヶ谷図書館の斜め前なので、それを目指せば間違いないです。
コンクリートのスタイリッシュな縦長ビルの2階で、「Ardoak」の看板が目印。1階は沖縄料理店になっています。ビルの入り口には、黒板メニューが出ていました。
階段かエレベーターで上がると、床にチョークでお店の矢印が…。矢印が示す重そうなドアをあけると、目の前に奥に続くカウンターが見えました。ほっ。
5,000円のおまかせコースに、好みのワインをグラスで
この日は3人でディナー。あらかじめ予約の際に、5,000円のコースをお願いしています。
その際、苦手な食べ物やアレルギーなども伝えているので(今回は海老やカニなどの甲殻類)、それを避けてメニューを組んでくれるようです。おまかせコースなので、そういった事前情報が大事なんですね。逆に条件さえあえば「××が食べたい」といったわがままも聞いてもらえるかもしれません。
まずは、カバで乾杯。「Clos Lentiscus(クロス・レンティスクス)」のブリュット・ナチュール。D.O.CAVAの認証がないので、正確にはCAVAではないのかもしれませんが、ビオディナミ栽培の自然派スパークリングワインです。やや小麦色がかった色合いで、ふくよかな果実味と花の香り。複雑に絡み合う味わいがあとをひきます。
パレットのようなお皿で出てきたアミューズ4種。イナダのリエットがのっかったピンチョスがおいしい。
黄色いクリーム状のものは、とうもろこしのムース。丸いのはトルティージャです。たこ焼き器でまるく焼いてあるけれど、味はまんまトルティージャ。面白いな~。
和食のような繊細な味わいと、盛りつけの美しさが積み重なって…
次に前菜の「アホ・ブランコ」。アーモンドとにんにくのスープですが、具だくさんなので、スープというよりソースのような趣。いちじく、キウイ、桃、プルーンなどフルーツ系とマッシュルーム、生ハムが入っています。
パプリカの赤いソースとバジルの緑のソースがワンポイント的にあしらわれ、みじん切りのドライ黒オリーブがふりかけられています。見るからに美しい。思わず「わあ!きれい」と声をあげてしまいました。
味はこってりした豆乳クリームのようで、かすかにアーモンドの芳香。アホブランコというと、別名「白いガスパチョ」で飲むイメージでしたが、こんなふうに具を盛りつけると、スープというよりソースたっぷりのサラダのよう。ひとすくいごとに具とスープが奏でる繊細な味の差が楽しめました。
そして3品目。またも美しいプレートが…。この芸術的な皿を見てくださいな。ラウンドに描かれたソースのたれ具合でさえアートです。こんな盛りつけで出されたら、食べる前からノックアウトでしょ。
見かけだけじゃありません。軽くマリネしたさんまの下には羊乳チーズが敷かれ、刻み野菜のドレッシングの上にはゆかりをちりばめるという細かく計算された味のコンチェルト。それを赤ワインソースとさんまの肝を使ったソースでいただきます。なんと複雑でデリケートな味わいよ。
このさんまには赤でしょ。と、テンプラニーリョの濃いめをお願いしたら、D.O.トロの「ETERNUM VITI(エテルヌム・ヴィティ)」をチョイスしてくれました。スパイシーで程よいタンニンが、さんまの肝ソースの苦みとマッチ。いいわ~。ワインがすすんでしまいます。
パンでお皿のソースを拭き取るようにしていただきました。
じっくり仕込んだスペインの美味が押し寄せる
ガスコンロの上でパチパチ言っていたパエリャ鍋(まさにパチパチ。見てるこちらが心配になるくらい勢いがあった…)は、数分の蒸らし時間を経て、わが目の前に差し出されました。何のパエリャだろうと思ったら、さんまとほうれん草でした。またもや旬のさんまです。
アリオリソース(自家製)とかぼすが添えられていました。レモンじゃないところがいいなあ。
しっかり炊きあげられたパエリャは、さんまの旨みがぎゅっとつまっておいしい。特にお焦げが最高。ああ、これはワインに合うパエリャだわ~、と赤を追加です。
今度は、リベラ・デル・ドゥエロの「PRUNO(プルノ)」(Finca Villacreces)。先ほどのトロよりも、タンニンが抑えられていて甘くなめらかです。単体で飲むならば、こちらのほうが好みですが、ワインは料理とのマリアージュですからね。はずれのないワインのチョイスが嬉しいです。
そうこうしているうちにやってきた、メイン料理「仔羊の煮込み」。
里芋、ロマネスコ、かぶなどの焼き野菜が添えられています。黒いのは、なんときくらげ!
玉葱とトマトのソースがたっぷり絡んでいます。まるで、かつて感激した、アラシダの「桜姫鶏のビトゥ風」のような雰囲気。
でもって、シェリーで煮込んだという羊肉がやわらかい。いやな癖が一切なく、羊肉の旨みだけが残っています。あまり得意ではない羊肉ですが、これは難なく、いえ、おいしくいただきました。けっこうボリュームがありましたが、ペロリと完食です。
選べる余韻は、デザートorチーズor食後酒。ゆったりと楽しめる隠れ家的レストラン
最後は、デザートかチーズプレートか食後酒から好きなものが選べます。お酒をもう少し飲みたい場合は、嬉しい選択肢ですね。ひとりは、シェリー「gutierrez COLOSIA(グティエレス・コロシア)」のフィノを。
あとのふたりはデザート。栗の渋皮煮にアイスクリームを添えて…。秋ですね。
飲み物はハーブティとエスプレッソがあったので、ハーブティにしました。ミントとレモンバーム入りのさわやかな紅茶です。
ああ、おいしかった。いい気分でお腹満足です。カウンターでいただくコース料理は、肩肘はらず気軽にゆったりと楽しめていいですね。
わたしたちがいただいている途中、ほかのお客様がいらっしゃいましたが、それぞれ時間差でこなしてくシェフは、動きがとってもスマート。どの席にも気を配り、雑談や問いかけに応えながらも手を動かし、食べきれないものは持ち帰り用に包んでくれるなど、臨機応変に対応してくれました。
手をかけたスペイン料理とそれに合うスペインワインをそろえている、大人の隠れ家的レストラン。また、こっそりうかがいたいです。
(2014年10月訪問)
貸し切りで少人数の立ち飲み美食バル・パーティー
こっそり…といいつつ、今度はお店を貸し切って立食パーティーをさせていただきました。参加者は12名。
ワインはこんな赤ワインの他、白、カバをお願いしました。
料理はタパスを中心に肉料理、米料理など。カウンターにピンチョスやタパスが並ぶと、スペインのバルそのもの。味も本格的で、手が込んでいます。
こちらは、アルドアックのスペシャリテ「赤ピーマンの詰物」。申し分なし。
ほかにもトルティージャや、マッシュルームのアヒージョ、イカや牡蠣のフリット、豚肉のロースト、イカ墨のアロスなど、次から次へと出来たてが並び、会話もはずんで楽しいアットホームなバル・パーティーになりました。あと2~3人増えても大丈夫だったかな。
お祝いの席だったので、ケーキを持ち込ませてもらったり、特別にソフトドリンクを用意してもらったり、なにかと融通を利かせてもらいました。お店を丸ごと貸し切っての上質なバル体験、機会があれば、また…。
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Ardoak(アルドアック)
2012年6月オープンのスペイン料理レストラン。オーナーシェフは、サン・イシドロ、神楽坂のバル・マコを経て独立した酒井涼氏。カウンター8席で、おまかせコース(5,000円/7,500円)を中心に提供している。店名の 「Ardoak(アルドアック)」はバスク語で「ワイン」という意味。2021年7月閉店。
2021年8月より、鎌倉に「アンチョア」として営業。
※当レポートは、2014年12月訪問時の情報をもとにしています。レストランご利用の際は最新の情報をご確認ください。