セニョーラ・あ〜の気ままな食卓

正統派バスクの味に陶酔

神奈川・鎌倉 「Arashida(アラシダ)」

2021年11月25日 更新 2012年5月 公開

アラシダのスペシャリテ

「Arashida(アラシダ)」は、2021年4月に鎌倉市長谷に移転されたようです。

新店舗 Arashida(アラシダ) 食べログ

以下、旧店舗でのレポートです。

☆☆☆

なんて素敵なお店だったんでしょう。

わたしの理想とするスペイン料理レストランバルが鎌倉にありました。 スペインで広がりつつある高級レストラン級の料理をバルスタイルで出す美食バル(ガストロバル(gastrobar))と言っていいのでしょうか。

鎌倉にあるスペイン料理とワインの店「Arashida(アラシダ)」。

バスクの「スベロア」で働いていた嵐田シェフが、2010年10月に開いたお店です。「スベロア」といえば、「スペインが止まらない Part3」に載っていて、NHKBS特番「愛と胃袋 スペイン編」でも紹介され、漠然と「行ってみたいなあ」と憧れていたレストラン。

そこで働いていたシェフなら間違いない。きっと本場仕込みの味が楽しめるはず。スペインは無理でも、鎌倉なら行ける。行きた~い!と思いながら1年半。やっとこさ2012年5月に行ってきました。予感は的中。期待どおり。というか期待以上でした。

落ち着いた雰囲気の中、ワイン1杯から飲めて、お馴染みのタパスからアルタ・コシーナ(高級料理)のコースまである、懐の深~い美食バル&レストラン。さっそくご紹介しますね。

■グルメデータ

レストラン:Arashida(アラシダ)(神奈川・鎌倉)

訪問日時:2012年5月 ディナータイム

内容:アラカルト料理+ワイン(1本)+ビール(3杯)3人で約17,000円

■■■目次■■■

【1】THE BANKのはす向かい

【2】料理はアラカルト、ワインは赤で

【Memo】アラシダ/スベロア

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THE BANKのはす向かい

外観

お店は鎌倉駅から歩いて10分程度、江ノ電「和田塚」駅からは徒歩1分のところにあります。はす向かいには元銀行の建物をショットバーにした人気の「THE BANK」。遠くからではお店のようには見えませんが……

近寄ってみると看板が出ていました。テレビドラマ「最後から二番目の恋」のロケでも使われたみたいですよ。

THE BANKの看板

その「THE BANK」の通りを隔てて向こう側のビルの2階に「スペイン料理とワインの店 Arashida」はありました。

外観アップ

1階はフレンチの「ete(エテ)」。こちらも評判のお店らしいです。

入り口の看板

看板のロゴがユニークですね。

階段を上がり店内に足を踏み入れると、照明暗めで全体的にダークブラウンの落ち着いた雰囲気。カウンターには真っ白な背もたれの椅子が並び、窓側にはテーブル席。そしてカウンター席の後ろには、小上がりの4人がけテーブル席がありました。ちょっとしたステージのようです。

3人で予約をしていたら、そのステージ席に案内されました。「えっ、ここですか。なんか目立つ~~」と思ったのだけど、実際に着席してみると、そうでもなく独立した空間の心地よさがありました。

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料理はアラカルト、ワインは赤で

メニューを開くと、魅力的なスペイン料理(主にバスク)が並んでいます。鱈のピルピルや、真鯛のサルサベルデ、アロスコンレチェ…。ディナーコース(5,500円)もあります。どうしましょう。 迷った挙げ句、シェフのおすすめを参考にアラカルトを数皿選ぶことにしました。

ワインリストも赤・白・カバ・シェリーとスパニッシュオンパレード。もう嬉しくなってしまいます。グラスワインで色々飲んでみたい気もしたのだけれど、ええい、面倒だ、赤を1本。

赤ワイン

リオハの「AZABACHE(アサバチェ)」テンプラニーリョ。まろやかで果実味たっぷり。バランスがよく料理のお供に丁度いい感じ。

バゲットパン

バゲットパンアップ

まず、お通しとして出てきたのが燻製バターを塗ったバゲット。ふわっと燻製香が鼻に抜けていきます。いきなりワインとベストマッチ。

それにしても、フロアスタッフの方は初々しくも丁寧でいい感じ。嵐田シェフも、キビキビと働く姿がさわやかで、話せば背筋の伸びた好青年。言葉の端々から料理に対する愛情が伝わってきます。

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絶品!オードブル3種。

まず、嵐田シェフがおすすめという前菜3品をそれぞれお願いしました。これがスペインバルに出てくるレベルじゃなかったんですよ。

オードブル

わたしがいただいたのは「うにを沈めたコンソメゼリー カリフラワーのババロアと共に」。スプーンですくって舌の上にのせると、濃厚なウニの味とともにコンソメゼリーがすうっと溶けていきます。カリフラワーのババロアはふわふわクリーミー。その両方を口に含むと、う~ん、もだえるほどに美味。

うにを沈めたコンソメゼリー カリフラワーのババロア

そして、底にはキャビアが隠されていました。これは赤ワインよりもカバか白の方がよかったかな~。

フォアグラのムース

フォアグラのムース2

こちらは「フォアグラのムース ペドロヒメネスの二層仕立て」。ペドロヒメネスの甘さのせいか、スイーツのように仕上がっているのだけれど、ちゃんとワインに合いますね。フォアグラムースのなめらかな舌触りがたまりません。「スベロア」のスペシャリテだとか。

カニのコンソメゼリー

カニのコンソメゼリー2

こちらは、えっと、何だったけ。蟹のコンソメゼリーだったかな。やはりとても凝っていて、中央にはキャビア、味は蟹を中心とした海鮮味だったような気がします。もはや記憶があいまいですが、どれも高級レストラン仕様です。あっぱれ。

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おなじみタパスもつまみます。

生ハム

スペインバルではお馴染みのタパスもつまみましたよ。切り立てのハモン・イベリコ。

チーズ

チーズ盛り合わせ、サン・シモンとマンチェゴ。

生ハムをつまむ

ハモン・イベリコは脂身のところを持って数秒。少し脂どけしたところをいただきます。うまい!

サン・シモンは、スモークされているので、ほんのりコーヒー牛乳の味がするんですね。今までも何度か食べたことはありますが、今回は意識していたせいかはっきり感じられました。ミルキーでコクがあって、マイルドな味わい。

マンチェゴはアミノ酸でジャリジャリするぐらいが好みなのですが、熟成が若いのもまたいいですね。当然ワインとは相性ばっちり。

たこのサラダ

たこのサラダ。

ほたるいかのフリット

ほたるいかのフリット。

黒いプレートに乗っかって出てくるあたりモダンスパニッシュしていますね。外はからっと揚がり、中はジューシー。塩をつけていただきます。チピロネス、いいなあ。

ビール

あ、このときはビールもいただいてましたね。

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本領発揮のメイン料理。

穴子のミルフィーユ

穴子のミルフィーユだったかな。このお店のオリジナル料理。外はからっと、中はしっとりふわっと仕上がっていました。どのお料理もそうですが、火入れがちょうどいいんですね。

鶏のビトゥ風

そして極めつけが「桜姫鶏のピトゥ風」。玉ねぎを丹念に炒め煮て作ったであろうこのソースがたまらなくおいしいのです。シェフによると、手間のかかる料理なのでスペインでも作る人は少なくなっているのだとか。それが日本で食べられるなんてねえ、ありがたい。

鶏のビトゥ風アップ

鶏肉は柔らかくて、フォークでほろっと崩れます。味もしっかり肉に染みていて、甘辛いソースをまぶすと絶品。アストゥリアスの郷土料理ということなので「カサ・マルシアル」直伝の一品なのかもしれません。

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素晴らしきアロス・コン・レチェ。

アロスコンレチェ

デザートは、アロスコンレチェ。

とろんとミルクが濃縮した中にご飯のぷちぷちとした食感、ほんのりレモンがきいて、卵でも入っているかのようなコクと甘み。今まで食べたアロスコンレチェの中でも群を抜いた美味しさです。むろん、わたしが作るアロスコンレチェと比べたら月とスッポン。

特別な材料でも使ってるんじゃないかとシェフにうかがったら、お米40gに牛乳1リットルで、3時間ぐらいかけて作るのだとか。ひえ~~~。生クリームも使っているようですが、素晴らしい。

ま、これはわたしの個人的な感想であって、初めて食べた方は「お米のミルクデザートだけど、普通に食べられる」程度でしょうが、ここまで美味しく作れるなんてねえ、「まいりました」の境地です。

しょうがのグラニテ

もうひとつは、生姜のグラニテ。食後にさっぱりといいですね。

店内

その後は、コーヒーをいただいてまったりと余韻を楽しみました。

ああ、よかった、満足満足。食の都バスクの味と湘南の空気がうまくとけあって、Arashida独自の雰囲気を醸し出していました。嵐田シェフの料理は、スペイン・バスクの伝統料理の魅力を伝えつつ、鎌倉の地でますます進化し輝いていくことでしょう。

1本筋の通った上質なスペイン料理レストランバル。お近くの方は、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。しみじみと、いいです。

(2012年5月訪問)

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「Arashida」

看板

スペインワインが充実している鎌倉のスペイン料理レストラン。オーナーシェフの嵐田憲和氏は「スベロア」「カサ・マルシアル」をはじめスペイン各地の星付きレストランで経験を積んだ後、2010年10月、神奈川県鎌倉市由比ガ浜にスペイン料理とワインの店「Arashida」として独立。カウンターとテーブルを含めて18席。本格ディナーコースが楽しめる。2021年4月鎌倉市長谷に移転。

Zuberoa(スベロア)

スペイン・バスク地方、サンセバスチャンから車で20分ほどのオイアルツン村にある高級レストラン。築600年の農家を改装した店舗には重厚で落ち着いた雰囲気が漂う。バスクの伝統料理を前衛的な手法ではなく、従来の調理法にのっとって現代風に仕上げる。洗練かつ安定した味は、食通のみならず地元の人々にも愛されている。ミシュラン2ツ星。(2012年版は1ツ星)

※当レポートは、2012年5月訪問時の情報をもとにしています。レストランご利用の際は最新の情報をご確認ください。

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