名物オジャとシェリーに乾杯
【閉店】東京・銀座 Bar de Ollaria(バル デ オジャリア)

料理やスタイルなど、どこかこだわりのあるスペインバルに心惹かれます。バル・デ・オジャリアは、オジャ(スペイン風おじや)とシェリーがご自慢のお店。とくれば、行かなくちゃね~。
と、気になりながらも数年がたち、でも忘れてはおりませんでしたよ。2013年6月にスペイン好きの友人と行ってきましたので、ご紹介しますね。
【追記】2020年4月7日に銀座店は閉店されたようです。以下ご参考までにどうぞ。
■グルメデータ
レストラン:バル デ オジャリア 銀座店(東京・銀座)
訪問日時:2013年6月 ディナータイム
内容:タパス盛り合わせ、アヒージョ、米料理+シェリー(6杯ほど)2人で9,200円
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銀座コリドー街にあるスペインバル

有楽町駅から線路沿いに新橋方面に向かって歩き、帝国ホテルの角のガード下をくぐると、高架下に小洒落たお店が並ぶコリドー通りに出ます。そこから50~60mのところに、スペインの国旗がはためくバルデオジャリアはありました。

赤い窓枠と傍らに伸びるぶどうの木が素敵ですね。間口が狭いので、よそ見をしてたら見落としそうですが、お店の向かい側はスターバックスなので、スタバがあったら、オジャリアは目の前です。
使い込まれた手描きの黒板がいい感じ。
夕方早めのオープンが嬉しいです。この日は外がまだ明るい17時30分に入りました。(注意:営業時間は今後変わる可能性あり)

カウンター10席、テーブル18席で、入り口付近に丸テーブルが2つと、カウンター前に長テーブルがあります。

店内にはすでに数名の客がいらしたので、とりあえず、丸テーブルに腰掛けてメニューを眺めます。それにしても、壁一面に並んだ酒の多さに驚きです。お店の方にシェリーの品揃えを伺うと、詳しい詳しい。マスターじゃなくても、シェリー通です。

こだわりのタパスとシェリー

まずは1杯。友人はマンサニージャ、わたしはシェリーを炭酸でわったカクテル「レブヒート」にしました。
マンサニージャ・サンルケーニャは、きりっとさわやかな味わい。クリムトの絵を思わせるラベルが素敵ですね。レブヒートはさっぱりすっきり。暑い日には、辛口が一番です。

お通しとして出てきたのがこれ。ひとくちサイズのパンの上に、薄切りチョリソ、それと瑞々しいラディッシュがのっています。シンプルな組み合わせながら、黒胡椒がぴりっときいておいしい。この時点で、食事もかなりいけると確信しました。
ここで、マスター中瀬さんの立つカウンター席に移動します。いつもいらっしゃるわけじゃないので、ラッキー!
(追記:中瀬さんは現在、ご自身経営のバー「シェリーミュージアム」で活躍されています。関連レポート:五反田「シェリーミュージアム」)
中瀬さんはシェリーの本を執筆されてるだけあって、お詳しいのは存じ上げていましたが、それにしてもその引き出しの多さに驚きます。どうしてシェリーはバルセロナではあまり飲まれていないの? ポートやマデイラとどう違うの? などという疑問を、歴史を紐解きつつわかりやすく解説してくれるのです。あふれ出す豊富な知識。ひそかに日本シェリー界の池上彰と呼ばせていただきますよ、わたしはね。
マスターとお話ししながらつまんだのは、タパス盛り合わせ。(1,850円)

ボリュームたっぷり。野菜のピクルス、イワシの酢漬け&ポテトチップス、エスカベッチェ、各種オリーブ、トルティージャ、野菜のトマト煮、豚のパテ、ニンジンサラダ。

どれもしっかりした味付けでシェリーとよく合ったのだけど、これは!とうなったのが、トルティージャ・デ・パタタスです。じゃがいもと玉ねぎが入ったオムレツで、単純な料理だけに難しい。作り方のちょっとした違いで味が変わってくるんですよね。
自分でもよく作りますが、ここまでの味は出せてない気がします。うう、悔しい。思わず、材料の配分や作り方を確認してしまったほど。あとで、お店のサイトを見たら、こだわりのたまごを使用されてるようでした。食材選びも大事ですよね。う~ん、もっと研究せねば…です。

片口イワシの酢漬けは、ポテトチップスにのせていただきます。きゅんとビネガーがきいた本場の味。スペインのバルでつまんだ日を思い出しました。

と、友人のグラスを見ると、いつの間にかフィノ(辛口)に。傍らにはチェイサー(水)。
アヒージョとパンで、シェリー飲み比べ

温かなタパスもいただきました。黒板メニューにあった「甘エビとドライトマトとマッシュルームのアヒージョ」(1,280円)。ぐつぐつ煮立っている状態で出てきます。身が柔らかく味の濃い甘エビがたまりません。ドライトマトもいいわ~。もちろん、マッシュルームも。
さらりとしたオイルのわりに味に深みがあって、思わずアンチョビでも入っているのかと思ったほど。聞けば仕上げに少しシェリーを加えてるとか。なるほど、料理にも隠し味としてシェリーを使っているわけですね。

旨みを含んだオイルはパンにつけていただきましょう。少し炙った状態で出してくれるパンがまたおいしいのです。ふわふわ。タパスやアヒージョを注文したら、必ずお願いしなくちゃね。というか、パンはサービスで付いてくるのかな? おかわり自由でした。

いい感じにおなかも満たされたところで、シェリーの飲み比べ(1,500円)にいきます。フィノ(辛口)はティオぺぺなどでおなじみだし、極甘のペドロヒメネスも料理用に常備していたので、ふだんあまり呑む機会のないものをお願いしました。
選んでくれたのは、アモンティリャード、ミディアムアモンティリャード、クリームの3種類。おまけで、モスカテルも。

ラウレアード・アモンティリャードは、バニラやナッツ系とマーマレードの香りで深みのある辛口。フィエスタ・グランデ・ミディアム・アモンティリャードは、それに少し甘みが加わった感じ。

ガルベイ・クリームは、干しブドウやキャラメルのような芳香でさらに甘みが増してなめらかな口当たり。そして、ホセ・ペマルティン・モスカテルはぐっと甘くなって濃縮レモンティのような、まさにデザートワインです。
色あいが濃くなるに従って甘みが増し、味も変化していきます。面白いですね。とにかく華やかな香味にうっとりですよ。この中ではクリームが適度な甘さでわたし好みでした。食事の終わりごろにちびちびといきたい感じです。

そうそう、華やかな香りといえば、シェリーが入っていたグラスをマスターが手でこすったかと思うと、目の前に。なになに?と鼻を近づけると、空のグラスからシェリーのふくよかな香りがぶわっと立ち昇りました。いつまでも嗅いでいたい甘く官能的な匂い。まるで手品のような出来事でした。
〆は名物のオジャで

そろそろ名物のオジャを。オジャ(olla)とは鍋のことで、鍋で作る煮込み料理を指すようですが、わたしのイメージとしてはやっぱり日本の「おじや」に通じる米料理です。何種類かある米料理の中から「イカ墨のカルドソ」をチョイス。1人前を2人でいただきます。小さな土鍋とまるっこい木のとりわけスプーンがかわいい!

ムール貝やほたてがごろんと入っていて、お米は少なめスープ多めです。スプーンですくって、ひとくち口に含むと、ああああ、イカ墨のスープがこの上なくおいしい。魚介のだしがしっかりきいています。少々濃いめなのが、またいいですね。これをあてにまたシェリーを飲んでしまいそうです。
だけど、もう限界。

目の前にはハモン・イベリコが鎮座し、いつでも切り立てがいただける状態でしたが、今回は見送りました。ほかにもオマール海老のアロス・メロッソやら牛すね肉の煮込みやら、食べてみたい料理がいっぱい。また足を運ばなくちゃね。
シェリーも料理も文句なくおいしい。加えて、マスターとのお話が楽しい。おそらく会話を楽しみに足を運んでいるお客様も大勢いらっしゃることでしょう。
状況に応じて水や炭酸を足してくれたり、好みに合いそうなシェリーをすすめてくれたり。さりげない気遣いとプロの技で、心地よく酔わせていただきました。満足度200%。シェリーの魅力を余すところなく伝えてくれる素敵なスペインバルに乾杯♪です。
(2013年6月訪問)
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Bar de Ollaria 銀座店

2007年12月にオープンした東京・銀座コリドー通りのスペインバル。店名にもなっている鍋煮込み料理Olla(オジャ)のほか、食材にこだわったタパスが楽しめる。シェリーの品揃えに定評がある。2020年4月7日に閉店。系列店の恵比寿店は営業中。
東京都中央区銀座7-2先 銀座コリドー街1階
※当レポートは、2013年6月訪問時の情報をもとにしています。レストランご利用の際は最新の情報をご確認ください。
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