チリンドロン(chilindrón)というのは、タマネギ、トマト、ピーマンなどを炒め煮にしたソースのこと。スペイン・アラゴン地方の郷土料理です。
【2人分】
30分程度煮込むと、スープ煮のような感じになります。とろりとさせたいときは、さらに煮詰めます。
骨からうまみが出て、塩・こしょうだけで充分おいしいのですが、骨付きでない場合やさらにこってりさせたい場合は、コンソメの素を加えると、こくが出ます。
残ったら、スープにしたり、スパゲティソースにしたり、形を変えてもう一度味わってくださいね。
チリンドロン、なんとも面白いネーミングですよね。
当初、チリンドロンをカルタ遊び(KAGOME スペイン料理 味の旅スケッチブックより)ととらえ、「色とりどりの野菜がカルタを散らしたように見えるところから、タマネギ、トマト、ピーマンなどを炒め煮にしたソースのことをこのように呼ぶようになった」と思っていたのですが……
2007年3月発行の「世界の食文化-14 スペイン」(農文協)では、
「この一風変わった名前は、語源は分からないが、もともとはスペイン・トランプ遊びで、 数字の10、11,12に代わる「ジャック」「馬」「王」が揃ったときをさす。おそらくうまい組み合わせということだろう。」(引用)
となっていました。
そして、昔の文献をあたっていたところ、今度は「週刊朝日百科 世界の食べもの26 スペイン1」(昭和56年6月7日発行 朝日新聞社発行)にて、チリンドロンを発見。高橋俊明氏の文章です。以下引用。
「アラゴンに行くと、チリンドロンという有名なソースで煮込む料理がある。チリンドロンはピーマンの種類のひとつである。このソースはピーマンを使うほかにトマト、タマネギ、ニンニク、ピメントンなどを炒めて作る。よく知られている若鶏のチリンドロンソース煮は、最初は猟師によってつくられたという…」
なるほど。ピーマン系の野菜品種にチリンドロンというのがあって、それを主に使って作っていたからなのか。
とはいえ、料理名の由来などは諸説あるもので、これもひとつの説なのかもしれません。まだ他にもあるでしょうか。チリンドロン探しの旅は続く…。
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