セニョーラ・あ〜の気ままな食卓

カガネーとポロンで楽しいスペイン食堂

【閉店】東京・白金台「サバドサバデテ」

2019年12月9日 更新 2010年7月 公開

サバドサバデテ

■今は無き心に残る思い出のレストラン

2010年7月に、スペイン好きの人たちと行ったレストラン「サバドサバデテ」のグルメレポートです。

ベレン人形のカガネーコレクションがあったり、ポロンの回し飲みができたり、シェフのベニートさんが繰り広げる楽しいレストランでしたが、2010年12月に閉店されました。

なお、その後ベニートさんは、京王線八幡山で、スペイン料理のデリカテッセン「La Cocina(ラ・コシーナ)」をされています。

■グルメデータ

レストラン:サバドサバテテ(京都・白金)

訪問日時:2010年7月 ディナータイム

内容:アラカルト8品と、ビールや赤ワインなどを7人グループで。

■■■目次■■■

【1】まるで博物館のような白金台のスペイン料理屋さん

【2】場を盛り上げるポロンのまわし飲み

【3】本場のタパスに〆はパスタパエリア

■■■■■■■■

スポンサーリンク

まるで博物館のような白金台のスペイン料理屋さん

お店

場所はセレブな東京都港区白金台です。地下鉄白金台から外苑西通り(プラチナ通り)に出て、恵比寿方面に歩くこと約10分。首都高速と交差する手前にお店はありました。スペインの旗とイラストの看板が目印です。階段で2階へ。

店内

中に入ると、壁いっぱいに絵皿や骨董品や写真。ひとつひとつ見ていくと、あちこちにサルバドール・ダリが写っているじゃないですか。

ベニートさんは、フィゲラス出身でジュエリーデザイナーとして来日後、ふるまう料理が評判になってスペイン料理店を開いたといいますから、同じ出身地のダリとも接点があったんですね。大きなポロンがあったり、壺があったり、まるでお店全体が博物館のようです。

ダリの写真が…

へええ~と感心していると、すでに到着していたメンバーが「今のうちにカガネーをみておくといいよ」と、わたしをトイレに促します。

そう、ベニートさんはカガネーの蒐集家でもあるのです。カガネーというのは、スペイン・カタルーニャ地方のクリスマスに飾るベレン人形で、皆しゃがんでうんちをしています。

我が家にもカガネーは何体かあって、人形自体は珍しくないのですが、トイレに行ってびっくり。こんなにあるなんて!

カガネー

トイレの壁三面にカガネー専用の飾り棚が備え付けられていて、その中にきちんと納まっています。100体くらいはあったでしょうか。天井近くには、ライトがつく特別のボックスまでありました。

「サバドサバデテ」に来たならば、トイレに用はなくても、一度はのぞいて見ないといけませんね。

■■■↑目次に戻る↑■■■

場を盛り上げるポロンのまわし飲み

ビール

そうこうするうちに、他のお客様もいらっしゃったので、テーブルにつき、まずはビールです。もちろんスペインもので、サンミゲルとマオウ。ワインも赤・白・カバ、シェリーと各種あります。

まだ全員そろってはいませんでしたが「ぼちぼちいきますか」と言いつつ、アルコールが入ってしまえば、ぼちぼちどころではなくなってしまいます。あれこれ、飲んで食べて、メンバーが到着するごとに乾杯をして…。

とりあえず、テーブルに並んだ料理は以下のとおり。

アリオリ

▲ アリオリソースとパン

アリオリはパンにつけたり、他のどんな料理にも合うので、たっぷりめ。パンにはちぎりやすいように切り目が入っていました。

ケソ・マンチェゴ

▲ ケソ・マンチェゴ

ハモン

▲ ハモン・セラーノ

切り立てです。うまい。

パンコントマテ

▲ パン・コン・トマテ

これにハモンをのせていただきました。

サラダ

▲ ポテトサラダ

クラシカルスタイルにほっとします。表面はアリオリが塗られていて、赤いのはピキージョ(パプリカの炭火焼き)、スペインのお袋の味といった懐かしくも優しい味です。

エスカベッチェ

▲ エスカベッチェ

スペインの南蛮漬け。というか元祖南蛮漬け?

乾杯

飲みながら待っているうちに、全員が揃ったのでまた乾杯です。ハウスワインの赤もいきます。ハウスワインは、ハーフサイズでも多めに入っていてお得なのです。レトロなボトルに入ってきます。お水もこんな素敵な水差しに入ってテーブルの真ん中にドン。

水ボトル

そうこうするうちに、ポロンを持ったベニートさん登場。やおらポロンを振り上げたかと思うと、お口めがけて、ツツツ~~。きれいな弧を描いて、金色の液体が吸い込まれていきます。ポロンも人間も静止状態で、飲んでいると思えないほどの鮮やかさです。すごい~。拍手喝采。

ベニートさんが飲み方を披露したあとは、お客さまにこのポロンがまわってきます。皆の視線が集中する中、ポロンを構えると同時にこぼしてしまう人や、待ってましたとばかり得意気に飲んでみせる人、途中でむせてしまう人など様々。ここでお店の中に連帯感が生まれ、隣のテーブルの方とも「お上手ですね」なんて盛り上がります。

自信のない人はパスしても大丈夫。うっかりこぼして洋服にシミが…なんてことになったら困りますからね。(で、わたしも遠慮)。飲んだ方の話によると、このポロンの中に入っていたのはビールのような飲み物だったそうですよ。

■■■↑目次に戻る↑■■■

本場のタパスに〆はパスタパエリア

そらまめの炒め物

▲ アーティチョークとそら豆の炒め物

フライ

▲ 魚介のフライ盛り合わせ

揚げ物はアンダルシア仕込みです。からっとおいしい。

パスタパエリア

▲ フィデワ(Fideua)

パスタのパエリャです。マカロニのように穴の開いたパスタを使用。トマトソースと魚介のだしがしっかり染みこんでます。アリオリソースをつけながらいただきました。

フィデワは、スペインでもカタルーニャ地方を中心に食べられているパエリャで、カタルーニャ語で「パスタの料理」という意味なんだそうです。そういえば、ベニートさんのトレードマークである赤い帽子もカタルーニャの民族衣装でしたね。

飲んで食べて喋って眺めて、ああ、楽しかった。これぞ陽気なスペイン食堂です。料理やワインもさることながら、ベニートさんを中心に醸し出されるアットホームな雰囲気こそが、このお店の最高のごちそうであり、魅力なのだと実感したのでした。

(2010年7月訪問)

スポンサーリンク

サバドサバデテ(SABADO SABADETE)

東京・白金台にあったスペイン料理店。アットホームな雰囲気のなか、昔ながらのスペイン家庭料理が味わえた。ポロンの回し飲みが可能で、店内のいたるところに飾られた骨董品やカガネーのコレクションがあった。オーナーシェフのベニートさんは、NHKのテレビスペイン語講座で料理を作ったり「NHK地球たべもの大百科〈11〉スペイン パエリア」にも登場している。

掲載雑誌も多数。店名のサバドサバデテとは、スペイン語で「花の土曜日」という意味。現地では男性が女性に会いに行くというちょっと違った意味合いもあるよう。2010年12月をもって閉店。

その後、広尾のナショナル麻布スーパーマーケットでローストチキンの販売をしたり、東京・八幡山にてローストチキンとスペイン料理のデリカテッセン「La Cocina(ラ・コシーナ)」をされていた。

※当レポートは、2010年7月のものです。

■■■↑目次に戻る↑■■■

スポンサーリンク

スポンサーリンク