■今は無き心に残る思い出のレストラン
2010年2月に出かけた東京・牛込神楽坂の現代スペイン料理レストラン「エル・ブオ」のグルメレポートです。
「サン・パウ」や「小笠原伯爵邸」のような本格モダン・スパニッシュが神楽坂で気軽に楽しめる!私好み!と喜んでいたのも束の間、2010年3月に閉店されました。
その後、砂田シェフは大阪のスペインバル「ドノスティア」を経て、2015年6月に大阪・堺筋本町にレストラン「エニェ」をオープン。いつか必ず…。
■グルメデータ
レストラン:エル・ブオ(東京・牛込神楽坂)
訪問日時:2010年2月 ランチタイム
内容:ランチコース(6,000円)を2人で。
2010年2月、東京・牛込神楽坂にある現代スペイン料理レストラン「エル・ブオ」に行ってきました。「サン・パウ」や「小笠原伯爵邸」のような本格モダン・スパニッシュが神楽坂で気軽に楽しめるんです。日曜の昼にいただいた13品コースをご紹介しますね。
場所は、大久保通りと神楽坂通りの交差点近く。東西線の神楽坂駅やJR飯田橋からも13分以内で行けますが、徒歩1分という都営大江戸線・牛込神楽坂駅から向いました。
神楽坂通りに面したビルの3階で、1階にふくろうの看板が出ています(2階はスペインバル)。3階に上がると、決して広くはないけれど、明るくすっきりとしたスペースが広がっていました。テーブル間も適度な空間が保たれています。
メニューは、コースだけでなくアラカルトもあって、平日(火~金)は深夜2時まで、土曜日、日曜日に限ってはランチ営業もしています。
その土・日ランチには、リーズナブルなプリフィックスコース(2,900円)があるのですが、ディナーコースも注文できるというので、10品、13品、16品の中から、13品コース(6,000円)にしました。基本の料理(10品)はほぼ同じで、それに3品プラスされたコースです。
飲み物は、微発泡のミネラルウォーター「サンタニオル(グリーンラベル)」を傍らに、カバ、白、赤と料理にあわせてグラスでいただきました。
では、13品コースをお皿順に。
▲ 【スナック・アペリティーフ】ヘーゼルナッツのガラピニャーダ、
スナックのパエリア、紫芋のチップス
ヘーゼルナッツは豆菓子、スナックのパエリアはサフラン風味のぽんぽん菓子、紫芋のチップスはそのまんまポテトチップスといったところ。駄菓子系で軽くジャブをかましてくれます。子供の頃のおやつを思い出しました。
▲ 【カクテル】 ピニャコラーダ
ラムをベースにしたパイナップルジュースとココナッツのカクテル「ピニャコラーダ」をアレンジしたもので、下にパイナップルのシャーベット、上にココナッツの泡クリームという2層になっています。泡クリームはテーブル横でシェフが、エスプーマから直接注入してくれます。文句なくおいしい。
▲ 【ピンチョス】タコとジャガイモ アリオリとタプナード / ミニピザ
温かい茹でダコに、タプナードがかかっていて、その下にポテト、アリオリソースが敷いてあります。タコのガリシア風の凝ったピンチョススタイルといった感じ。身が柔らかくて、タコのうまみ凝縮って感じ。
ミニピザは、チーズが焼けてカリカリした部分のかけらのよう。
▲ 【ピンチョス】ピストマンチェゴのデザート風
ごまがいっぱい詰まった器に、ソフトクリームのような姿で供されます。なにこれ? てっぺんはうずらの卵のよう、食べてみても、んんん? 濃厚なクリーム? 白ワインにめちゃ合い。でも、冷静に名前を見れば、ピストマンチェゴと書いてあるじゃないですか。そう、なすやピーマン、トマトなどの炒め煮(ピスト)をピューレ状にしていたのです。すごいアレンジ。でもちゃんと元の料理を尊重した仕上げになっています。恐れ入りました。
▲ 【パンとオリーブオイルのバター】
パンは気泡が細かく目のつまったスペイン風のパン。バターは、バターじゃなくてオリーブオイルをゼリー状にしたもの。パンの上にのせて、口に含むとさっと溶けていきます。浸すオイルよりも、味がマイルドに感じられます。気のせい?
▲【テクスチャー】フォアグラと長いものアイレ スッポン風味
アイレ(aire)は空気という意味で、このお料理は「食感」を楽しむ1品だそう。とろとろの長いもクリームにスプーンを入れると、底からフォアグラが出てきます。フォアグラに長いもをからめて口にふくむと、ソテーされたフォアグラから脂がじゅわっとわき出て、長いもはまるでとろける濃厚なチーズのよう。確かにこの食感は初めてです。
ふわふわとろとろの食感とハードな味に度肝を抜かれた一品でした。まだ、序盤なのに、今からこんなにこってりでは、この先どうなるんでしょう。
▲ 【大地】季節の有機野菜
しかし、続くのは野菜料理で、ひと安心。かぶやアイスプラント(塩味のする葉っぱ)に、そらまめのソースを注いでくれます。野菜本来の味を生かした優しい味です。
▲ 【マール】アンコウのプランチャ 白インゲンのピューレとセップ茸のソース
アンコウのソテーにセップ茸のソースがかかり、葉が開いてる芽キャベツ(?)が添えられ、ピューレ状にした白いんげんが、太筆で描いたように盛りつけられています。美しい。あんこうは身が柔らかくしっとり。
▲ 【肉料理】イベリコベジョータ豚ホホ肉の炭火焼きと熊本産有機ゴボウのコンフィ モスカテルのソース
豚ホホ肉の上に乗っている球体はオリーブオイル。ナイフでぷちっとつつくと、オイルが肉を包むように流れ落ちます。ソースは、モスカテルのデザートシェリーでも煮詰めて作ったものでしょうか、甘めのソースです。豚なのに牛の赤身のような旨味も感じられました。
▲ 【プラス・アロス】アサリとスペイン産カラスミのアロス
アサリのリゾットにすり下ろしたカラスミが、ふりかけられています。アサリのだしがきいてて、濃いだし茶漬けのような感じ。肉料理の後に、ほっとする味です。
▲ 【チーズ】ケソマンチェゴ/バルデオン/ラ・セレナ/サン・シモン/オベハ・アル・ロメロ/レチェ・クルダ
チーズはトレーで運ばれてきて、好きな物がチョイスできます。欲張りなので全部をちょっとずつ盛り合わせにしていただきました。1度に6種類のスペインチーズが味わえるなんてラッキー!
▲【ピンチョス】生ハムベジョタの極薄サンド
そして、本来は最初のピンチョスのところで登場する生ハムがここで出て来ました。もちろん、最初でもいいけれど、このタイミングでも問題なし。
ほんのり温められたプレートに、オイルをまとった極薄の生ハム。うまーい! 熟女の微笑のような味わい。(どんなんじゃ?)
また、チーズはどれも柔らかくコクがあって食べやすい。羊乳や山羊乳のチーズは苦手なものもあるのに、ここでは全く気にならず、むしろ個性的なおいしさに唸りました。ことに青カビチーズの「バルデオン」は最高。今まで食べてきた「バルデオン」は何だったのでしょう。
聞けば砂田シェフは、チーズにも凝っているそうで、いい状態で保存し、いい状態で提供しているとのこと。チーズの銘柄にもよるのでしょうが、チーズを知っているからこそのセレクトに脱帽でした。
▲ 【ポストレ1】パートレット洋梨のコンポート ヨーグルトアイス添え
▲ 【デザート2】チョコレートのデセール
洋梨はさっぱりめ、チョコレートはこっくりとした味わいのデザート2重奏。しかも、チョコレートはムースと固形の違うテイスト。計算しつくされています。
▲【カフェ&小菓子】コーヒー ゴマのパリパリ/トリュフ/ゴマのマドレーヌ
最後にコーヒーと小菓子で終了です。マドレーヌはブラックオリーブ入り。ああ、楽しかった。次から次へとお皿ごとに違うテーマの世界が繰り広げられて、わたしにとっては「これ何?」「どうやってるの?」「何が入ってる?」とクイズショウを楽しむが如く、見て予想し、食べて驚き、聞いて納得の2時間半でした。
繊細で手の込んだ料理なのに気負いがなく、ちょっとした遊び心まで添えてあって、なんて楽しく機知に富んだモダンスパニッシュなんでしょう。行きつけの隠れ家にしたいようなレストランです。
で、こっそり海外からもお客様がいらっしゃっていました。厨房の壁にあるサインは、スペインのチョコレートで有名なオリオール・バラゲ氏。反対側にはワイナリーのオーナーのサインもありました。
シェフの砂田氏は、スペインの三ツ星レストラン「アケラレ」などで経験を積まれた若手実力派。スペインに行かずして、相応のお料理が気軽に味わえるのですから、こんなに嬉しいことはありません。たぶんまた行きます。香りをテーマにした「いろいろなキノコのソテー 森の庭園」を味わいたいので。
(2010年2月訪問)
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東京・牛込神楽坂にあった現代スペイン料理レストラン。シェフは、サン・セバスチャンの「アケラレ」をはじめスペイン各地のレストランで経験を積んできた砂田裕智氏で、本格モダンスパニッシュを親しみやすい形で提供していた。「el Buho」とはふくろうの意。2009年秋オープンしたものの、残念ながら2010年3月上旬で閉店。
現在、砂田氏の料理は、大阪・堺筋本町のレストラン「エニェ」で楽しめる。
※当レポートは、2010年2月訪問時のものです。
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