東京・青山の「湖月」は、ミシュランガイドに星付きとして何年も掲載されていて敷居が高いイメージだったのですが、外から見る限りこじんまりとしていて、ご近所の小料理屋さんの雰囲気。引き戸をがらがらと開けて一歩足を踏み入れると、やはり家庭的なほっとする空間が広がっていました。
片隅に招き猫が並んでいたり、神棚があったりと、どこか懐かしさにも似たあたたかみに満ちているのです。
2009年6月初旬、夫婦でおじゃましたときのお料理をご紹介しますね。女将さんがいらした頃のレポートです。
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おまかせコースは、「通常」と「少なめ」の2コースあって、アラカルトもいくつかあります。 量のかげんがわからないので少なめコースでお願いしました。
素敵なお品書きは女将さんが書かれたもの。事前に苦手なものはないか確認してくれ、あった場合は、融通をきかせてくださるとのことでした。ちょっとした心遣いが嬉しいですね。
まずは、青紅葉があしらわれた先付けに目が釘付けです。新緑の季節にふさわしい飾り付けにうっとり。青紅葉をめくると、目にも鮮やかな一口サイズの品々が並んでいました。
右端はひじき入りのおからですが、これが大豆のおからではなくて、ごまのおから。胡麻豆腐を作ったときに出るおからで作ったのだそうです。コクがあってプチプチした食感も新鮮で、一口目でノックアウトです。
真ん中がゆでえび。お腹側には卵の黄身がつまっています。手が込んでいますね。手前が寒天寄せ。想像どおり旨味が口の中で溶けてにんまりです。葉蘭のむこうはクルミがたっぷり入った松風焼きのようなもの。左端は針生姜をサーモンで巻いてあります。サーモンと生姜って合うんですね。かわいいマイクロトマトももちろん一粒残さずいただきました。
そして、ガラスの器に盛られているのが、魚そうめん。どれもおだしがしっかりときいています。ひとつひとつ丁寧につくられていて、味にバラエティがあって、おいしくて嬉しくて、ビールが進みました。ああ、もう幸せ~(笑)。って、これからなんですが、以下いただいたものを簡単に。
若草しんじょう。ふわふわ。
はも、いさき、しまあじ。はもは梅肉だれで。黄色いツマはなんとかぼちゃです。
あゆ。たで酢でいただきます。おなかごと、がぶり。
たこと里芋と南京の炊き合わせ。たこがやわらかい。
賀茂茄子の南蛮煮。甘辛い煮汁が芯まで染みこんでいます。お酒に合うやや濃いめの味付け。ここで、ビールから日本酒にバトンタッチです。
このあと、ご飯ものに続くはずでしたが、「もっと味わいたい! まだお腹に入りそう」ってことで、追加注文です。
穴子のかんぴょう巻。
レンコン蒸し。
れんこん蒸しは、れんこんと卵白をあわせた衣で、白身魚や穴子などを包んで蒸したもの。冬にはこれが、かぶらになるそうです。とろんとろんの葛あんがまたいい塩梅。お酒はここで打ち切りです。
3種の盛り合わせ。ごまがちょっとふりかけてあるだけで、お漬け物の表情もかわりますね。写真では隠れて見えませんが、奥のふきのとうのお漬け物が気に入りました。
ご飯ものは、4種類(いくらごはん、飯蒸し、おぞうすい、そうめん)の中から選べたので、それぞれ「いくらごはん」と「飯蒸し」にして半分ずついただきました。
「いくらごはん」には山芋のとろろがかかっていて、期待を裏切らない予想通りナイスなお味です。いくらはぷりぷり。
そして、この飯蒸しが絶品。もちもちしたご飯と、ほぐした魚身と松の実、千切りの青じそなどがうまくマッチして、素晴らしいの一言。もうお腹はパンパンなんだけど、入ってしまいます。たぶん、4種類のうちどれをいただいても、お酒のあとに合うように仕上げてあるんでしょうね。
フルーツゼリーとカスタードクリーム。このゼリーの中に入っているのが、すいか、グレープフルーツ、マンゴーなんだけど、どれもフレッシュです。すいかなんか、さくさくジューシーで、噛むとすいか本来の甘い果汁が口の中にじゅわっと広がります。新鮮なフルーツじゃなければ、こうはいきませんよねえ。
ということで、「少なめコース」+追加アラカルトはおしまい。ご馳走づくしで大満足です。お腹もどっしり。(笑)
いただいたお料理はどれも口に合い、たとえ苦手なものがあったとしても、ここで出されたものなら食べられるだろうと思わせてくれる、信頼できる確かなおいしさでした。
加えて、そのお料理をリラックスして味わえる、お店全体のなごやかな雰囲気がよかったですね。女将さんやほかのお客さんとの雑談にも思わず参加してしまったほど。
お手ふきを気付かぬうちに取り替えてくれたり、お料理をタイミングよく出してくれたり、さっと取り皿が出てきたり、軽く会話の話題をふってくれたりと、どれも当たり前のことなのでしょうが、その当たり前が当たり前になされていて心地いいのです。
「湖月」は向田邦子さんもご贔屓のお店だったとか。常連さんが多いのも頷けます。美味なるひととき、ごちそうさまでした。
■湖月のおすすめシーン
おひとりさまから2〜3人の少人数なら、カウンターで。4〜6人なら掘りごたつ式の和室で寛げます。コースのほか、アラカルトもあります。
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東京・青山にある割烹料理店。カウンター9席、座敷1間で、四季折々の料理が味わえる。夜のみ。2008年~2017年ミシュラン2ツ星。2018年は1ッ星。最寄り駅は表参道。
2012年7月末で女将が引退された後は、料理長の佐藤重行氏がオーナーシェフとなって再オープン。2012年9月より引き続き営業されています。
東京都渋谷区神宮前5-50-10
2013年元旦、湖月のおせちをいただく機会がありました。彩り美しく手の込んだ品はどれも美味。お店でいただいた時と同様におだしが利いていて、濃すぎない程良い味付けでした。
※当レポートは、2009年6月訪問時の情報をもとにしています。レストランご利用の際は最新の情報をご確認ください。
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