セニョーラ・あ〜の気ままな食卓

スペインのクリスマスと「3人の王様」【3】

2019年11月22日 更新 2008年 公開

■■■目次■■■

【TOP】はじめに

【1】クリスマスの期間と行事

【2】スペインのクリスマス菓子

【3】おはなし「3人の王様」

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【3】おはなし「3人の王様」

子ども向けの「3人の王様」はだいたい次のようなおはなしです。

「3人の王様」

むかしむかし、ユダヤの国で、近いうちに神様の御子が生まれるという、うわさがひろまりました。

神様の御子が生まれる夜には、ふしぎな星が出て、人々に知らせるという言い伝えがあったので、国じゅうの天文学者は空を見始めました。

なかでも、特別にえらい12人の天文学者は山にのぼり、観察するだけではなく、ふしぎな星を教えてくださいと神様に祈りました。

あるばん、12人の天文学者が祈っていると、とても美しい星が現れ、「ユダヤのベツレムで神様の御子がお生まれになった」という声がきこえました。

その声を、ユダヤの国からずっと離れたところにあるアラビアの王様メルチョール(メルキオール)、シバの国の王様バルタサール、タルシスの王様ガスパールも、聞いていました。

3人の王様は御子に会いに行くため、すぐに旅支度を始めました。3人の王様はそれぞれ、ラクダにささげものを山のように積んで、家来をひきつれて旅に出ました。

ふしぎな星に導かれて道を進んでいましたが、あと少しでユダヤの都エルサレムにつくというときになって、星が空から消え、あたりは濃い霧につつまれてしまいました。

しばらくして霧が晴れると、3人の王様はおどろきました。自分と同じような旅の行列が、他に2つもあったからです。

話してみると、3人とも同じところへ向かっているようでした。3人の王様は抱き合って喜び、ラクダを並べて、エルサレムへ向かいました。

そのころ、エルサレムには、ユダヤをおさめていたヘロデ王がいました。ヘロデ王は、急に大勢の人がやってきたのでなにごとかと尋ねました。「神様の御子がお生まれになったので、おがみにいくのです」と3人の王様は口をそろえて言いました。

ヘロデ王は、3人の王様に「その子どものいる場所をみつけたら、わたしに教えてくれないか。わたしもおがみに行きたいから」と言いました。

でも、こころの中では、その子を殺してしまおうと考えていました。王様の地位をとられたら大変だと思ったからです。

3人の王様がエルサレムの町を出ると、またふしぎな星が出て道案内をしました。

歩き出してから13日目でした。3人はベツレヘムの町はずれの小さな馬小屋につきました。

馬小屋の中に入ると、かいばおけにひとりの赤ちゃんが寝ていました。そばには貧しいみなりをした女の人がいました。馬小屋のなかは、神々しい光でみたされていました。これこそ神様の御子に違いありません。

3人の王様は、たくさんの贈り物をもってきましたが、赤ちゃんのまえにひざまずいたとたん、感激して胸がいっぱいになりました。

メルキオールは、黄金をさしだしました。バルタサールは乳香をさしあげました。ガスパールは没薬(もつやく)をさしあげて、あとのものはすっかり忘れてしまいました。

その晩、3人の王様が休んでいると、夢に天使が現れました。天使は夢の中で、ヘロデ王は悪い人だと教えました。3人は目をさますと、別々の道を通って国に帰ることにしました。

こうして3人の王様は、御子が生まれたことを、みんなに知らせながら帰ったので、国にたどりつくまでには2年近くかかりました。

人々は王様のはなしを聞いて、神殿の上に星をかざりました。そして、ふしぎな星にみちびかれて、御子に会いに行った3人の王様の話を長く伝えました。


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かいば桶に寝ていた赤ちゃんがイエス・キリストで、貧しい身なりをした女の人がマリア様ですね。誕生のおはなしは次のようなものです。

「イエスの誕生」

ユダヤの国では、むかしから、いつか天の神様が救世主キリストを、この世界につかわしてくださるという言い伝えがありました。そして、とうとう約束の日がきたのです。

そのころ、皇帝の命令で、国じゅうに人口しらべがあり、自分の生まれた町に戻って、役所に名前を届けなければいけませんでした。小さな村ベツレヘムも、そのための旅人でごったがえしていました。

旅人のなかには、北の町ナザレからきたマリアとヨゼフ(ホセ)という若い夫婦もいました。宿はどこも満員で、貧しいふたりを泊めてくれる家はありませんでした。ふたりは村はずれのうまやのなかで休みました。

その夜、イエス・キリストがうまれたのです。マリアは、赤ちゃんを布につつんで、かいば桶のなかに寝かせました。

近くの野では、羊飼いたちが羊の番をしていました。すると、神様の御使いたちがあらわれて言いました。「きょう、救世主がお生まれになりました。かいば桶に眠っている赤ちゃんが神様の御子キリストです」

空には、御使いたちの美しい賛美歌が流れていました。羊飼いたちは、すぐに救世主をおがみにいきました。そのあと、遠い東の国から3人の王様たちもやってきました。

(参考:「世界のクリスマス伝説」聖パウロ女子修道会)


 

クリスマスは、キリストの誕生を祝う平和と喜びのお祭りです。スペインでは、この降誕の様子を、人形の置物(ベレン人形)やクリスマス劇で再現し、歌をうたってお祝いをするのです。

言い伝えによるものなので、おはなしや祝い方は地域により、少しずつ違いがあるようです。

このページを作成するにあたっては、児童書「世界のクリスマス伝説」(聖パウロ女子修道会)や各種ガイドブック、Wikipedia、海外ブログなどを参考にさせていただきました。

※3人の王さまは、スペイン語でレジェス・マゴス(Los Reyes Magos)。東方の三博士(または三賢人、三博士、三賢士)と同義です。

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