
2009年7月下旬、神戸の「エル ラコー デン タケウチ」へ行ってきました。いやあ、よかった。小さなお店ながら、スペイン料理に注ぐ情熱は最大級。スペインの流儀にそって、スペイン料理の神髄を損なうことなく、地元の食材を使って上手にアレンジされているのです。
これでこそ、日本のスペイン料理レストラン&バルです。神戸で出合った感動のスペイン料理をご紹介しますね。
場所は、三宮駅から歩いて5分くらい。地図を片手に向かったのですが、最初は通り過ぎ、引き返して見つけました。上を見れば、スペイン国旗色に牛が描かれた大きな看板。見過ごすほうがおかしいのですけれど。
牛のプレートのついた木製のドアをあけると、手前にカウンターのバル、奥にテーブル席という、スペインによくあるタイプの造りになっていました。今回はテーブル席でいただきます。


テーブル席は2人がけが4つぐらいあったでしょうか。テーブルは白で統一され、狭いながらも落ち着いた雰囲気です。
さて、何をいただきましょう。メニューを見ながら相談した結果、アミューズ、前菜、メイン、デザートというコースに、パエリアも食べたかったのでお米料理を付けていただくことにしました。


飲み物はCAVAで「EUDALD MASSANA NOYA」。すっきり辛口で飲みやすく、硬質でしっかりした味わいです。
まずは、アミューズです。アミューズというと、突き出しっぽい一口サイズのものを連想します。
が、出てきたのは、冷製スープでした。
【アミューズ】桃のガスパチョ。


ガスパチョといえばトマトが定番。フルーツましてや桃は初めてです。スプーンでかき混ぜると、中にごろんと大きな桃が入っていました。
口に含むと、確かに桃。ほんのり甘くて、その甘さが旨味として生きています。ジュースではなく完全にスープ。調味料づかいの技でしょうか。オリーブオイルはマルケス・デ・グリニョンの「オレウム・アルティス(Oleum
Artis)」を使用してるとか。
次に前菜。
2つのサラダから選べます。ひとつは、ロメスコソースをかけた「チャトーサラダ」、もうひとつは瀬戸内の海の幸を使った「シーフードサラダ」。どちらも食べてみたかったので、2人でそれぞれ頼んでシェアしました。シェフ泣かせですみません。
【前菜】チャトーサラダ

ナッツの入ったロメスコソースが、野菜や魚介にほどよくからんで、なんておいしいのでしょう。淡路は魚介の宝庫だそうで、そこから新鮮な旬のものを仕入れているそうです。タイラ貝、しらさ海老、剣先イカ・・。ことにしらさ海老は絶品でした。
【前菜】シーフードサラダ

シーフードサラダには、穴子やカニ、ウニまで乗っています。春巻きの皮をバスケット型にして揚げたような器に入っていて、パリパリとそれまで食べられてしまいます。2人でシェアしても、充分な量。それでいて、これが前菜というから言葉を失います。
どちらのサラダを選んでも、満足度100%です。
同時にパンもいただいたのですが、写真を撮るのを忘れました。しっかりしたパンにトマトの果肉をすり込んで、パン・コン・トマテにして出してくれました。
さあ、いよいよメインです。肉料理2種類、魚料理2種類の中から選べるのですが、前菜でシーフードのサラダをいただいたので、メインは肉料理にしてそれぞれ「鴨のステーキ」と「ひな鶏の塩がま焼き」をシェアしていただくことにしました。
【メイン】ひな鶏の塩がま焼き


雛鶏の柔らな身をレモン風味のさっぱりしたソースでいただきます。付け合わせはアティーチョーク。肉用のナイフは、切れ味抜群です。
もうね、素晴らしすぎ。こんなの食べたことないですよ。ほどよい塩かげんで身がしっとりしています。スペインではよく鯛やスズキなどの魚を使って塩がまにしますが(日本でもそうですが)、雛鶏もいいですね。
この塩釜焼きですが、焼き上がりをテーブルに持ってきて見せてくれたのです。その様子は動画でどうぞ。(無音
25秒)
▲ あまりに近寄りすぎてぼけてます。すみません。手をぱたぱたさせているのは「匂いをかいでみて」と言われて、焼きたての香ばしい匂いをたぐり寄せているため。塩がま衣の中には香草も見えますね。

雛鶏の場合、直接、塩をすると辛すぎるので、卵白でマイルドにした衣で覆って焼き上げているそう。ちなみに、この衣の部分もおいしそうだったので、食べてみたのですが、塩辛くてけっこういけるんですよ。ビールのつまみに良さげ。ま、通常食べないらしいんですけどね。
【メイン】鴨のステーキ


そして肉料理のもうひとつは鴨です。ナスの上に乗った鴨が分厚い。柔らかい。濃い。ジューシー。こちらも大当たりです。
パフォーマンスの面で、つい気持ちがひな鶏に行ってしまいますが、味の好みで言えば、鴨のほうに軍配があがります。食べ応えしっかり。ここでパンのおかわりをしました。
【追加:お米料理】アロス・ネグロ


コース料理なら、このあとデザートなのですが、米料理も食べたくて追加で入れていただきました。イカ墨で炊いたアロス・ネグロ。魚介のだしがしっかり染みこんでいます。おいしい。
添えられてるアリオリソースは自家製で真っ白です。塩とオリーブオイルだけで黄身は入っていないから、ということですがそれにしても白い。しつこく尋ねたところ、ミルクを入れているとのことでした。はは〜ん、やっぱり。納得です。
最後にデザートです。クレマ・カタラナ、チョコレートケーキ、アイスクリーム、プリンとあって、ものすごく悩んだのですが、アイスクリームとプリンにしました。
【デザート】パッションフルーツのアイスクリーム

きゅんとした酸味がさわやかなパッションフルーツのアイスクリーム。お米のデザート、アロスコンレチェが添えられていました。さっぱりして食後にぴったり!と思ったのだけど、それを上回るデザートがプリンでした。
【デザート】カスタードプリン

プリンなんて別に珍しくもないと思ったのですが、このプリンは特別でした。とってもクリーミーでやわらか。とろんとろんです。
どうやったらこんなにおいしいプリンが作れるのでしょう。武内シェフは、特別な材料で作ってるわけではないと言います。では、配合とか蒸し温度でしょうか。なおも尋ねると、黄身を多めに入れて、じっくりと湯せんにかけて、ぎりぎり固まったところで取り出すのだと教えてくれました。
「一歩間違えると、プリン自体の重みでつぶれてしまう緩さです」と、実際つぶれてしまったプリンも見せてくれました。

あらまあ、めちゃめちゃデリケートなんですね。実際、クリームのようななめらかな舌触りで、同じように仕上げるのはきっと至難の業です。
最後に、コーヒーが出ておしまい。ミルクピッチャーが牛の形をしていました。牛に始まり牛に終わる? 凝ってますね。

以上、感動のディナーコース+お米料理でした。メニュー構成として、アミューズ、前菜、メインになっていますが、このボリュームからすれば、前菜は第一のお皿、メインは第二のお皿というスペイン式ですね。
最近の流行として、エルブジのように品数が多く少量というのがありますが、こちらは一品一品を大切にして、食べ応えがあり印象に残る料理をめざしているそうです。
確かに、アミューズからデザートまで手抜きのない味で、しっかりと記憶に刻まれました。武内シェフの熱意が、お皿に投影されているといっても過言ではないですね。
「エルラコーデン タケウチ」は、神戸グルメで人気のブログ「神戸っ子ゴハン」で知りました。そちらも参考になさってくださいね。武内シェフのお人柄がうかがえる楽しい記事ですよ。
「神戸っ子ゴハン」のスペイン料理レストラン訪問記事
(2009年7月訪問)
■エルラコーデン
タケウチのおすすめシーン
バルづかいとレストランづかいの両方が可能です。ふらっと寄るならバルで充分ですが、ここは予約をしてぜひコース料理を。ランチコースは3,000円程度(ディナーは5,000円程度)からあります。(今回いただいたのは、ディナーコース級のランチです)。なお、平日もランチ営業されているようです。電話でご確認の上おでかけくださいね。コース料理の場合は3日前の予約がベストです。
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