自然の恵みをいただく本格薪火料理のランチコース
東京・調布 薪火料理レストラン「Maruta(マルタ)」

2019年4月中旬、東京・調布にある薪火料理の「Maruta」でランチをいただいてきました。大皿で供される料理を数人でシェアするスタイルのレストランです。
貸し切りランチだったので、通常コースとは若干違うかもしれませんが、薪火料理の魅力というか魔力に魅せられたのでご紹介しますね。
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レストランの外観と店内

東京・調布市深大寺北町の「Maruta」は、2018年3月にオープンした薪火料理レストラン。調布駅や三鷹駅からだとバスで15分程度のところにあります。
駅からは離れているものの、ちょうどお店の前がバス停「深大寺北町」というわかりやすい立地。近くに深大寺や神代植物園があるので、お参りや散策がてら立ち寄るのも良さそうです。
今回はタクシーで行ったのですが、木々に囲まれたおしゃれな建物があるな〜、倉庫にしては美しすぎると思ったら、そこがレストラン「Maruta」でした。

店名は入り口に小さく表示され、メニュー等も出ていないため、遠目にはレストランのように見えないのですが、エントランス脇の薪のストックが目に入ったとたん納得。まさに薪火料理店らしい店構えなのでした。

中に入ると、天井が高く開放感のある気持ちのいい空間が広がっていました。右側にワインセラー、正面に受付、その斜め奥がオープンキッチン。そして左側に薪焼きコーナー。

壁に埋め込まれた暖炉のような薪火焼きコーナーがスマートです。炎や灰が舞うであろう場所でありながら、いや、そういう場所だからこそ非常に美しく整えられています。

段を細かく調節できる棚は特注でしょうか。すでに火が熾され、薪火が今か今かと待っていました。ここでこだわりの食材が焼かれていくわけですね。

オープンキッチンも機能的で美しい。
なによりキビキビと動くスタッフの自然体で明るくフレンドリーな佇まいがこの空間の心地よさを生み出しているようでした。
おしゃれなペンダントライト、木肌にぬくもりを感じる長テーブル、花瓶に挿した白い花、すわり心地のいい木と革の椅子。
インテリアからカトラリーに至るまで、こだわりが感じられるモノに囲まれて、さあランチ会食の始まりです。
ランチの内容

テーブルにつくと、ドラのような大ぶりの皿がお出迎え。唐津の窯元で焼かれたものらしいです。これに料理を取り分けていただくわけですね。
お水は、炭酸ガス入りかガスなしかの希望を聞いて注いでくれます。

まず白ワイン。南アフリカの自然派ワイン「ブランチ・クラブ オルタナティブ・ホワイト 2018」。甘そうな色めながら、辛口白ワインです。
で、お酒を飲まない人にはノンアルコールのドリンクをすすめてくれるのですが、これがとっても粋でした。

ワイングラスに、ワインと同じ色あいの台湾の発酵茶を入れて持ってきてくれたのです。
ワインを飲んでいる雰囲気を壊さず、アルコールを飲まない人もその気分に浸れるという、いわばMaruta流の「のんある気分」ですね。
この台湾の発酵茶は、滋味深いウーロン茶に似た余韻のある味わいでした。
Marutaでは、有機農法の野菜や果実を使った自家製ノンアルコールドリンクが多彩で充実しているようでした。もちろん料理に合うよう配慮されています。
ノンアルコールと料理のペアリングが楽しめるって素敵ですよね。

料理はまずチーズとホエーのサラダ。これは4人分です。自分たちで取り分けてもいいし、お願いすればサーブもしてくれます。
わたしはついお皿の中央に盛ってしまったのですが、スタッフの方はお皿の端に細長く盛っていました。思わず「おしゃれ〜!」と言うと、 後から来る料理とソースが混じらないようにとのこと。なるほどです。
でも「あえてソースを混ぜて、自分だけの味にしても面白いですよ」とも。うんうん、それもアリですよね。

サラダは爽やかなホエーのドレッシングがよかった。主張しすぎない優しい味で全体をまろやかにさっぱりとまとめつつ、虹鱒の燻製やフレッシュチーズの味を活かしています。ヨーグルトでもそれっぽくできるかしら。

サラダを食べ終えて、次の料理も大皿で出てくるのかと思ったら、今度は個々に出てきました。

たけのこのフリット。
筍のフリットには、薄くレモンソースが塗られ、国産の生ハムと芹、ネギソース(たぶん)が添えらています。
揚げたての筍は柔らかくほこほこで、ソースや香味野菜と相まって美味しいのなんの。
筍は前日にスタッフが山で採ってきたもので、それを薪の灰を利用してあく抜きしたそうです。薪火焼きで出た灰は、調理に利用したり自然に還元できたりで全く無駄にならないんですね。

そして、パエリア。具がなくて魚介の出汁だけで作ったアロス・ア・バンダですね。アリオリソースとタマネギの赤ワインビネガーピクルスを添えていただきます。

すでに軽く混ぜ合わせてあり、お焦げが表面にも顔をだして、魚介の香ばしさが漂ってきます。

今度は皿の端によそって、まずは何も付けずにいただきます。もぐもぐもぐ。咀嚼するうち、嬉しくなって心の中で叫びました。
これこれ、これよ〜(笑)。
出汁を吸ったご飯はぱらりと炊き上がり、しつこくなく上品。カリッとしたお焦げもいいアクセントになり、ああ、なんて絶妙な仕上がりでしょう。お米は国内産らしいですが、本場バレンシア米のような趣きがありました。
アリオリソースやタマネギのピクルスを付けると、また違った味の出現ににんまりです。メインの前におなかを満たしてはいけないと思いつつ、おかわりをしてしまいました。

パエリアを心ゆくまで味わったところで、キウイとコリアンダーのサラダです。
キウイにコリアンダーやディル、山椒などの香草、エディブルフラワーを乗せ、ライムを絞ったフィンガーフードのような可愛らしいサラダです。

キウイは皮をむいて食べるものでしょ、という先入観を軽く吹き飛ばしてくれる小気味よい一品で、なぜか苦手なコリアンダーも美味しく食べられるから不思議です。香草+香草×果汁がお見事!

いよいよMarutaの真骨頂、肉の薪焼きです。黒ニンニクを塗ったみやじ豚とチャーシュー。手前の赤いのはパプリカソースで、下に敷かれたソースはなんだったのか聞きそびれましたが、ねっとりととろみのある旨うまソースです。

みやじ豚はほどよく引き締まり、旨うまソースを付けていただくと極上の美味しさ。チャーシューは甘くとろけるようでした。

ちなみに、このときのノンアルコールドリンクは赤ワインに雰囲気を合わせたものでした。さすがのペアリング。

デザートはチーズケーキとアイスクリーム。カルダモン風味のヨーグルトアイスで甘さ控えめの大人の味わい。

チーズケーキは表面が真っ黒の焦げ焦げでバスク風チーズケーキっぽくもあるのですが、特にバスク風というわけではないとのこと。温かいのでチーズプディングのようなやわらかな食感でした。

最後にコーヒー。陶器の白いカップに本革スリーブが付いて出てきました。コーヒーは黒、紅茶は茶色のスリーブ。
いまどきのカフェスタイルに「へえ〜」と感心しながら、香草使いは真似したいなあ、とか、薪焼きの香ばしさにそそられるよねえ、どれも濃い味付けじゃなくて素材の味が生きてたなあ、味に嘘やごまかしがないんだよねえ、などと食事の余韻に浸っていると「庭へもどうぞ」とテラスに続くガラスのドアが開きました。
レストランのテラスと庭

テラスに出ると白い花をつけた木が満開。ジューンベリーだそうで、実がなればそれもドリンクや料理に使われるのかもしれませんね。

振り返れば、レストランのガラスにもジューンベリーの白い花。

テラスには、薪割りを待つ丸太も転がっていました。希望すれば薪割り体験もできるようですよ。

庭の中央には芽吹き始めたシンボルツリー、下には果樹やハーブがあちらこちらに。奥には畑もあるようでした。

ここで採れた野菜やハーブが、やがて形を変えてレストランのテーブルに乗る。レストランとして理想的な形じゃないですか。

花瓶に挿していた白い花が、庭の姫りんごの花だったと知り、そのさり気なさにまた心がくすぐられるのでした。
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Maruta(マルタ)

2018年3月にオープンした薪火料理のレストラン。薪火で焼いた料理を大皿に盛り、ロングテーブルを囲んで皆でシェアするスタイル。総席数30席。
地域の生産者のオーガニックな食材を使用し、野性を心地よく刺激する空間と料理を提供している。不定期で、テラスを利用したワークショップや各種料理イベントも開催される。
オーナーは、緑化事業を手がけるグリーン・ワイズの代表、田丸雄一氏。店名も氏の名前が由来とか。シェフはオーストラリアの「Brae(ブラエ)」で経験を積んだ石松一樹シェフ。
東京都調布市深大寺北町1ー20ー1
※当レポートは、2019年4月訪問時の情報をもとにしています。レストランご利用の際は最新の情報をご確認ください。
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