鰻をまるごと食べ尽くす初回おまかせフルコース
東京・池袋 うなぎ「かぶと」
猛暑が続く7月下旬、池袋の人気店「かぶと」で鰻をまるごと食べ尽くすフルコースを体験してきました。鰻好きなら一度は足を運びたいお店です。ご紹介しますね。
■グルメデータ
レストラン:東京・池袋「かぶと」
訪問日時:2018年7月下旬 ディナー
内容:うなぎの初回おまかせフルコース (1人1万円程度)
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初来店者向けと常連さんコースがある
東京・池袋にある「かぶと」は、池袋駅西口から徒歩5分ほどのところにある15席のうなぎ専門店です。
食べログでは、4.5という高評価。なかなか予約がとれないお店として有名なのですが、幸運にもグルメな方に誘っていただき実現しました。
5時スタートの4名。全員、初「かぶと」です。とりあえずビールを注文し、お品書きを眺めつつ、店主の口上に耳を傾けます。
ちなみに突き出しは、千切り大根の浅漬けです。
初めての客でもアラカルトの注文は可能ですが、できれば初回はおまかせのフルコースを…とすすめられます。まずはお店のこだわりの味をひと通り体験してほしいということでしょう。うなぎは養殖ものです。
2回目以降になると、天然ものが食べられるし、養殖との食べ比べもできるのですが、とにかく初めてですから、はいはいとその養殖うなぎのおまかせフルコースをいただくことにしました。
フルコースといっても、う巻きやうざくなど鰻づくしの料理が出るわけではありません。鰻を頭から内臓までフルに食べ尽くすコースです。
目の前には、氷の入った桶に活きのいい鰻がにょろにょろ。元気がよすぎて飛び出す奴もいましたよ。この鰻を食べる直前に捌いて焼き、すぐさま出してくれるわけです。贅沢極まりない。
しかも今回は、その過程をじっくりと見られるカウンター席です。
初回おまかせフルコースの内容
まず、えり焼き。鰻の頭だけの串焼きです。真っ黒になるまでしっかり焼かれているせいか、骨もコリコリと食べられます。
思わず「おいし〜」というと、店主から「鰻の中で一番おいしくないところです。通常捨てられる部位ですから」と。
あら〜。身も蓋もない。ま、そういう部位でさえ、美味しいってことですよ。
次に、えり焼きを塩で。これまた「おいし〜(笑)」。タレより一段と美味しく感じられます。おそらく少しずつ「美味しい」の最上級に向かっていくんでしょう。
ここで冷や奴が登場したのですが、その濃厚な大豆の旨みににんまり。豆乳プリンですか?と問いたくなるようなクリーミーなお豆腐で、写真を撮るのも忘れ、気づいたときには、ひとかけしか残っていませんでした。藻塩をちょっとつけて食べると最高なんです。
このお豆腐は、お店からほど近い「大桃豆腐」製だそうです。今度、池袋に行く機会があったら買って帰りましょう。
お酒は純米酒「くくみ酒」。すっきりとした口当たりでほんのりフルーティな香りも感じられます。もちろん鰻と好相性。
次にひれ焼きです。しっかり焼かれて、外はカリカリ、中はふんわり。
軽い気持ちで「ヒレってどこの?」と聞きましたら、「今からお見せしましょう」と、まな板にうねる鰻を置き、目打ちを刺して、捌きながら、これが腹びれ、尾びれ、背びれとしゅ〜っと包丁を入れて説明してくれました。いやあ、鮮やか!
そうこうするうちに、まな板の上には内臓。何かを取り出していると思ったら、心臓でした。ええっ!
お皿の上でも、ピクピクと動いています。これを噛まずに飲み込むようにと。まじっすか。言われるままに、ピクピクを口に含み、お酒と一緒にごくん。
なので、どんな味かはわからず、臭みも感じず。鮮度がいいからこそできる一種のパフォーマンスでしょうか。なんだか精力がついたような気にはなりましたが。
続いて、きも焼きです。七味を少々かけてみました。
肝のほどよい苦みに甘みや旨みが渾然一体となって、ううう、うまーい。新たな串が出るたびに確実に「美味しい」の階段を上っています。
自家製のぬか漬けもいいですねえ。山芋、きゅうり、なす、にんじん。
お酒は特別純米酒「大地」。福岡県産山田錦のさっぱりとした味わいです。お酒をちびちびいきながら、冷たい麦茶もいただきます。
レバ焼きも格別。癖がなくお酒と合うなあ。
そしていよいよ、白焼きです。関東では蒸してから焼くのが一般的ですが、このお店では地焼きにしています。蒸してしまうと味が落ちてしまうからだそうです。
とにかく活きのいいのを捌いてすぐ焼く。すぐ食べる。それにつきます。
量を少なめにしたので、1人で1/2匹です。頭から尾まで部位によって味が違ってくるので縦に裂きます。
食べ方としては、まずはそのまま。次に塩(対馬の藻塩またはアンデスの岩塩)をつけて。そして「まずくなりますが、試しに醤油をつけてみてください」と。
一瞬「は?」と思いつつ、白焼きを頬張ると、ぷりっとした身からじゅわっと脂が染み出ます。くどくないさらりとした脂で、淡泊な鰻本来の味します。
塩をつけると、ちょうどいい。藻塩でもアンデスの岩塩でも、うまい、うまい。調子にのって、醤油をたらして口に入れてみましたら…。
あら〜、せっかくの繊細な白焼きの味が、醤油の強さに負けて台無しになってしまいました。うう、店主の言うとおりです。
よく白焼きにはわさびと醤油が付いてきたりしますが、鮮度のよい鰻なら、わさびも醤油もいらないんですね。
店主は食材や料理の説明をしながらも、鰻を捌いて串を刺し、焼き場に移動して手際よく焼いていきます。
一連の動作に無駄がなく、しぐさのひとつひとつが美しい職人技は、見ていて気持ちがいいですね。
鰻を焼く香ばしさが一段と増し、匂いだけでご飯が食べられるレベルに達した頃、一皿に4人分の鰻の蒲焼きが乗って出てきました。これも蒸さないで焼いたものです。
うふふ、この照りと焼き色。タレが染みこんでいるように見えますが、鰻の身を守るように、軽くまとっているだけなんですよ。
ご飯は小・中・大盛りと選べたので、小にしました。
鰻をのせて即席うな丼。
タレは甘すぎず濃すぎず、意外とさらりとしています。元のタレをなめさせてもらいましたが、全然違いましたね。活きのいい鰻をくぐらせることで脂や旨みが溶け出して秘伝のタレとなっていくようです。
肝吸い。お出汁がきいたほっとするお味です。
ほっとするといえば、女将さんの細やかな気遣いにずいぶんと救われたし和みましたね。賑やかな店内で大将の「……お願いね〜」に応える「は〜い」も心地よく耳に残っています。
ああ、大満足。
鰻の蒲焼きは持ち帰りもできるというので、半分残してパック詰めにしてもらいました。家に帰ってからも、ここでの余韻が楽しめるなんて嬉しいじゃないですか。
7時15分にお会計。飲んで食べて4人で4万円弱でした。
次回は晴れて天然鰻との食べ比べができます。やっほー! ま、予約が取れたらの話ですが。なにはともあれ、暑さが吹き飛ぶ最高の夜でした。ごちそうさまでした。
(2018年7月訪問)
■「かぶと」のおすすめシーン
カウンター8席、小上がり3席、入り口付近のテーブル4席の全15席なので、1〜4人程度の少人数で。初来店の場合は、カウンター席で店主から丁寧な説明を受けながら食事ができます。初回の鰻は養殖もののみ。2回目からは天然ものが食べられます。予約必須。
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■予約
予約状況はレストラン予約サイト「OMAKASE」にてご確認ください。
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うなぎ「かぶと」
創業1948年のうなぎ専門店。天然、養殖ともその時期に最高のものを仕入れ、捌きたて、焼きたてがモットー。
先代の店主は新宿うなぎ「カブト」で修行した岩井和雄さん。確かな職人技と毒舌トークで人気店となり、2014年8月には「ソロモン流」(テレビ東京)で紹介される。
2016年4月からは、2代目の藤森公将ご夫妻が切り盛りする。先代から受け継いだ味と技に磨きをかけ、食べログにてうなぎ部門1位の座を守り続けている。
フジテレビ「松本人志のすべらない話」(2019年7月27日放送)で神田松之丞さんが先代店主とのエピソードを披露。店名は言わずとも話題となる。
東京都豊島区池袋2-53-2 池袋ESビル 1F
※当レポートは、2018年7月訪問時の情報をもとにしています。レストランご利用の際は最新の情報をご確認ください。