サン・ジョルディの日にはバラの花と本を。
スペイン・カタルーニャ地方には古くから伝わる本と花の祭典があります。「サン・ジョルディの日」といって、4月23日に恋人や親しい人に本や花を贈り合うのです。
女性からは男性に本を、男性からは女性にバラを贈るのが通常ですが、親子や友達同士でプレゼントし合うこともあります。
また、4月23日はユネスコの「世界 本の日」でもあります。
日本ではあまり定着していませんが、大切な人に日頃の気持ちを伝えるいいチャンス。「サン・ジョルディの日」にあやかって、本やお花を贈ってみてはいかがでしょう。
■■■目次■■■
スポンサーリンク
そもそもサン・ジョルディって誰？
サン・ジョルディとは、キリスト教の聖人の一人で、カタルーニャ語の呼び名です。英語読みではセント・ジョージ、ラテン語ではゲオルギウスとなります。
カタルーニャのほか、イギリスやポルトガル、ギリシャなどの守護聖人でもあります。旧ソビエト連邦から独立したグルジア（ジョージア）は、国名そのものがこの聖人名に由来すると言われています。
サン・ジョルディのドラゴン退治の伝説
カタルーニャでは、ドラゴン退治の伝説から、自由を愛する象徴として親しまれています。諸説あるようですが「ドラゴン退治」は次のようなものです。
むかしむかし、スペイン ・カタルーニャ地方のモンブランク村に、１匹のどう猛な龍がすんでいました。恐怖におののいた村人たちは、龍の怒りをしずめるために生け贄として、毎年１人ずつ若い娘を差し出すことにしました。
そのうち王家のお姫様までもが、生け贄になる日がやってきました。龍が今にも姫に襲いかかろうかとしたそのとき、白い馬にのり、黄金の剣をもった若き騎士が現れました。それこそが、サン・ジョルディだったのです。
驚く姫に、サン・ジョルディは「あなたを救いにきました。龍を退治して平和な村にするために」と告げ、龍をひと突きでしとめました。
そのとき流れ出した龍の血から、赤いバラの花が咲きました。
バルセロナで見かけたサン・ジョルディ伝説
▲ 州政府の建物には、ドラゴンを仕留める瞬間の像があります。
グラシア通りに建つカサ・アマトリェーの入り口にもありました。
カサ・アマトリェーの彫刻は、龍と戦っている様子が描かれています。
4月23日、スペイン・バルセロナでは…
近年、サン・ジョルディの日が自由に祝えるようになったのは1977年カタルーニャが自治権を獲得してからのことです。
フランコ独裁時代には、公用語としてカタルーニャ語を使うことが禁止され、サン・ジョルディの日もカレンダーからは消されていたといいます。
本を贈る習慣は、ひそかにカタルーニャ語の本を贈り、カタルーニャへの愛を確かめるという特別の意味もあったとか。
現在では、そういった意味合いよりも、親子で、友人同士で、恋人同士で会社の上司と部下で、日頃の労をねぎらったり、愛を伝え合ったり、友情を深めたりと、お互いを思いやるイベントになっています。
4月23日当日は、バルセロナのあちらこちらに本やバラを売る出店が出て多くの人たちで賑わいます。街中がバラの花と本でいっぱいになるなんて、ちょっと素敵ですね。
4月23日、日本では…
1986年に日本書店組合連合会、日本・カタルーニャ友好親善協会等が4月23日を「サン・ジョルディの日」として制定し、この文化活動の推進を図っています。
たとえば、毎年4月には、スペイン国営セルバンテス文化センター（市ヶ谷）や名古屋のイベント会場で、講演会や絵本の読み聞かせ会、展覧会、演奏会、本の即売会、バラの花のプレゼントなどのイベントが行われて賑わっています。
▲ 2012年、セルバンテス文化センターで行われた「サン・ジョルディの日フェスタ」の様子。詳しくはブログ記事「カバで乾杯、サン・ジョルディの日フェスタ」で。
この愛と知性に溢れたイベントを、友達や恋人同士、家族間、仕事仲間で演出してみるのも楽しいのではないでしょうか。
2019年も東京と名古屋でイベントを開催。東京は4月23日に四谷のセルバンテスセンターで「鳥の歌」コンサートや講演会、バラの交換会、カバで乾杯など。名古屋は4月21日に、久屋大通庭園フラリエで絵本の読み聞かせや本の販売などがありました。
関連リンク
