「シニフィアン シニフィエ」のパンに惚れる
パン好きな方ならみんな知ってる「Signifiant Signifie(シニフィアン・シニフィエ)」。わたしだって名前ぐらいは知っていた。
なのに、なのに、ああ、なんで今まで食べてみなかったかなあ。ま、お値段高めで、店も遠いし、すでにお気に入りのパン屋さんがあったから…。
なんて言い訳はやめ。遅まきながら、シニフィアン・シニフィエのパンに惚れちゃったのでご紹介しますね。
【追記】
2023年6月に予定されているラボ移転に伴い、銀座シックス店は、2023年3月24日で閉店。世田谷本店とオンラインショップは、2023年5月14日までの営業のようです。その後の詳細は、シニフィアンシニフィエのサイトでご確認くださいね。
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シニフィアン シニフィエの魅力
ブランジェリー「シニフィアン シニフィエ」は、志賀勝栄シェフが2006年10月、東京・世田谷区にオープンしたお店。
水分多めの生地を独自の発酵種で長時間発酵させるのが特徴で、しっとりもっちりと旨みのあるパンが魅力です。
そして種類が多い。バゲットだけでも何種類もあります。
時期にもよりますが、北海道産小麦をブレンドし糀も使った日本人好みの「ジャポネーズ」、フランス産オーガニック小麦など3種類の小麦をブレンドした「バゲット ルヴァン」、低温でゆっくりと40時間発酵させた「40時間発酵バゲット」、オーガニックの小麦とライ麦を入れた「オーガニック小麦のバゲット」、ほかに季節限定バゲットなど。
材料や発酵時間などが少しずつ違って、その旨みも異なるためどれも味わい深いんですよね。
たとえば、「40時間発酵バゲット」(左)は、フランス産の有機小麦2種と北海道産の小麦をブレンドし、約11℃の低温でゆっくり40時間発酵させたもの。パン酵母もホップ種、レーズン種、リキットルヴァンを組み合わせているだけあって、さわやかな酸味で噛めば噛むほど小麦の旨みがにじみ出てきます。
「バゲット ポルチーニ」(右)は、秋冬限定のバゲットで、低温長時間発酵で小麦の旨味と甘みを引き出したバゲットに、ポルチーニ茸を練り込んだもの。ややブラウンぽい色合いで、ポルチーニの芳醇な香りとコクが詰まった大人味です。
食べ比べてみたくなるでしょう。
ナッツや豆、野菜、ドライフルーツなどを入れた個性的なパンも凝っています。クルミパンの「パン オ ノア」もそう。
この断面、見てくださいな。クルミだけじゃなく、ピーカンナッツがごろごろぎっしり。生地にはじゃがいもが練り込まれていて、しっとりもっちりとした食感です。
そう、シニフィアンシニフィエのハードパンの多くが、外側はパリッとしていて、なかの生地がふんわり、しっとり、もっちりしているんです。これが癖になる。
定番の他、季節限定ものも多く、ハーフサイズや切り売りもあるので、ついつい「あれも欲しい」「これも食べたい」になるのです。
パンいろいろ
シニフィアンシニフィエで初めて買う場合は、お試しセットがおすすめです。
お店で買ったバゲット(ジャポネーズ)、食パン(パンドミ)、お試しセット(3種類ミックス)の内容は次のようなものでした。
バゲット(ジャポネーズ)
人気の定番バゲット ジャポネーズです。3種の北海道産小麦をブレンドし、麹も入った自家製酵母で、低温で約18時間ほど発酵させたバゲット。
小麦の香りが心地よく誰からも好まれそうな味わい。外はぱりっと、中はしっとり。
食パン(パン ド ミ)
パン・ド・ミ。ハーフを買ってきて、1枚切ったあとのかたまりです。側面の斜線の焼き目が、シニフィアン シニフィエらしさを物語っています。
わたしが長年抱いていた「パン・ドゥ・ミー」のイメージを覆すしっとりもっちり感で、まるでご飯を食べてるみたいに旨みがあふれます。
パン酵母にじゃがいもや麹を加えたホップ種とレーズン種を使っているようで、その効果なのでしょうか。本当に美味しい。
食パンは朝食のイメージでしたが、これは夜にもワインやおつまみと一緒に食べたい食パンですね。
もちろん焼いても美味しい。ざくっとした歯触りが楽しめます。発酵バターを塗って……。
お試しセット
▲フルヒデフロート
甘酸っぱいドライフルーツがたっぷり入ったライ麦パンです。
チェリー、イチジク、レーズンの他、アマニ、大麦、白ごま、ひまわりの種、オーツ麦などの雑穀も入って、香ばしくザクザクとした食感。薄く切ってクリームチーズと一緒に……。
▲フィグ・エ・フィグ
ヘーゼルナッツの入った生地に、黒イチジク、白イチジクがぎっしり詰まっていて、どこを切ってもイチジクが顔を出します。
イチジクのぐにょっとした果肉とプチプチ感が心地いい。赤ワインにぴったりです。
▲小麦胚芽ミニ食パン
小麦胚芽を30%配合しているミニ食パンです。栄養豊富で身体に良さそうだけど、癖があるのでは?と思いきや、ほんのり甘く、香ばしく、しっとり、ふわふわ。口当たりがソフトで美味しい!
フルーツジャムをつけて朝食に、ハムやチーズを挟んでブランチに。
▲スペルト・ルヴァン
スペルト小麦100%のパンです。ほんのりと酸味があり、小麦の風味が濃くて嬉しくなります。
どっしりと食べ応えがあるので、肉料理やシチュー、濃厚なチーズと一緒にいただきたいですね。赤ワインを傍らに。
どれもパンそのものに旨みがあるので、料理があると美味しさの幅がぐっと広がります。さらにワインがあれば最高!
購入は店舗または通販で
シニフィアン・シニフィエの実店舗は、世田谷本店(三軒茶屋駅)。シニフィアン・シニフィエ プラスとして、銀座シックスにあります。 ネット通販は、公式オンラインショップがあります。
※ラボ移転に伴い、銀座シックスは、2023年3月24日まで。世田谷本店とオンラインショップは、5月14日までの営業のようです。
通販で購入の場合は、ほぼ冷凍便となり(店頭渡し除く)、公式ショップでは時期により常温・冷蔵・冷凍便が選べます。
が、たとえ常温便が可能であっても、冷凍便がおすすめです。焼きたてを急速冷凍することにより劣化が少なく、そのまま冷凍保存ができるからです。
店舗で買ってきた場合も、当日に食べない場合は早めに冷凍するのが吉。食べたいときにリベイク(焼き戻し)すれば、焼きたての美味しさが味わえますよ。
志賀シェフの本で知る・作る
シニフィアン シニフィエのパンをもっとよく知りたい、作りたいという方は、志賀勝栄シェフの本が参考になります。
本格的なレシピ本も出されていますが、ここではタイプの違う3冊をピックアップしてみました。
なお、本の紹介につきましては、Amazonアソシエイトを利用しています。
パンの奥深さを知りたい方に
▲ パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ) 志賀勝栄著(講談社)
パンの歴史から日本のパン業界、材料の小麦粉、発酵種のこと、水や塩の役割、パン作りのノウハウなど、現役パン職人だからこそ見えるパンの世界を丁寧に解説。「美味しさには根拠がある」。志賀シェフの溢れる探究心と情熱が伝わってくるパン作りのガイドブックです。2014年発行。
こだわりのパンを作ってみたい方に
▲シニフィアン シニフィエのスイーツブレッド 志賀勝栄著(飛鳥新社)
スイーツブレッドのレシピ集です。リッチな生地で作るスイーツブレッド(6種)、少ないイーストと長時間発酵で作るハードなパン生地のスイーツブレッド(3種)、オリジナル生地で作るスイーツブレッド(6種)が載っています。レシピはプロセス写真付き。こねる作業はミキサー使用。 2011年発行。
パンに合う料理が知りたい方に
▲パンと料理 おいしく食べる最高の組み合わせ 志賀勝栄著(家の光協会)
パンに合う料理レシピと美味しく食べるヒント集です。料理は、サンドイッチ/タルティーヌ(9品)、サラダ/マリネ/そうざい(10品)、スープ/汁物(5品)、肉・魚介料理(8品)、デザート/ドリンク(5品)。手ごねで作るパン(3種)のレシピや、料理に合わせるシニフィアン シニフィエのパン紹介も。2017年発行。