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猪熊弦一郎現代美術館

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岡山から瀬戸大橋線で丸亀へ向かう。幾度かトンネルを抜けると、電車は瀬戸大橋を走り始める。窓から見える海はおだやかで、波は縮緬模様を描いてきらめいている。その輝きをカメラに納めようと、チラチラと流れる橋桁の間から、一瞬をねらってシャッターを切るが、思うような景色は写せない。鉄が視界を遮断して、画面に鈍色のたすきをかけるのだ。それでもカメラを手に、瞬間を待ち続けるが、その時はついに訪れず、坂出番の州工業地帯のタンクに迎えられる。電車は10分ほどで海を渡りきった。

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丸亀駅前にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。通称MIMOCA(Marugame Genichiro-Inokuma Museum of Contemporary Art)。大きな箱のような、舞台のような、それ自体がオブジェのような建物である。設計は谷口吉生。

猪熊弦一郎がデザインした壁画「創造の広場」の前には、赤い「四つの生命」、黄色の「星座」、黒い「シェルの詩」の3つの巨大オブジェが設置されている。

どれもインパクトが強いが、なかでも「シェルの詩」には、近づけば近づくほど、それに磁力でもあるかのように吸い寄せられていく。巻き貝から突き出ているウニの棘のようなものは、遠くから見れば、爪楊枝だが、間近では槍である。貝がごろんと転がってきたなら、一命を落としそうなリアリティ。恐ろしくも美しい。

壁画は、稚児が描いた世界のように自由だ。人がいて馬がいて、わけのわからない乗り物がある。クレヨンを握って画用紙に向かい、夢中になった時が確かにあった。上手く描こうなんて思っちゃいない。描くことが楽しかった。なのに、いつの間にか絵など描かなくなり、算数で100点を取ることに忙しくなる。

猪熊弦一郎は1902年生まれ。丸亀中学を卒業後、東京美術学校西洋画科に入学する。同級生には小磯良平がいる。パリ、ニューヨーク、ハワイなどに滞在しながら製作に励み、数々の作品を残しているが、わたしが知っているのは、小説新潮の表紙と三越の包装紙ぐらいか。

常設カタログに、猪熊のこんな言葉が載っていた。「新しさということは自分です。自分を一番出したものが新しい。昔とか今とかいうんぢやないのです。他人の持たないものが出る。それが新しいということです。」(教育美術12巻1号1951.1)猪熊弦一郎の「新しさ」がわたしの胸に突き刺さる。

(Canon IXY DIGITAL 910 IS)

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
所在地:〒763-0022 香川県丸亀市浜町80-1
アクセス:JR丸亀駅 南口 徒歩1分
公式サイト:MIMOCA 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館サイト